演じることは、その時々の生き様を伝えること
池ノ辺 演技をするときは、台本で台詞や動きが制限されると思いますが、比較的自由度の高い音楽をメインとされていた身としては不自由に感じませんか?
浜野 台本というレールに敷かれているのが好きなんです。でも、「ラジエーションハウス」を撮っているときに、 八嶋(智人)先輩に、「君はすごい誤読がある」っていう意味のことを言われたんですよ。台本を、みんなの読み方とは違う読み方をしてるっていう。
池ノ辺 書いてあるとおりに演じていないってことですか?
浜野 台本を、違うニュアンスで受け取っちゃってるっていうことですよね。でも八嶋先輩に、「でもそれって、わりと大事なことだったりするんだよ」って言ってもらえたんですよ。
池ノ辺 脚本に書いてない部分を読み取れってことですかね?
浜野 みんなが「こうでしょ?」って思ってることに、応えられるだけが役者じゃないっていうことを、(八嶋)先輩はおっしゃっていたと思うんですよ。あえて誤読するというか、こういう意味なんだろうけど、こう解釈してもいいかな? みたいな。
池ノ辺 それってすごいことですよね。映画に出たり、演じることって浜野さんにとって何でしょうね?
浜野 生き様を伝えるものだと思うんですよ。お芝居は、求められたことを出しているだけではなくて、その時々で30代だったり、40代の僕の生き様が出たら良いなと思っています。
池ノ辺 それでは最後に『劇場版ラジエーションハウス』をこれからご覧になる方に、一言おねがいします。
浜野 今回のコピーに「別れと旅立ちのとき。」って言葉があるんですが、〈ラジハ〉なりの旅立ちと別れがすごく出てると思うんですよね。そのなかで軒下五郎はけっこう面白いと思いますから(笑)、ぜひ観てください。
インタビュー / 池ノ辺直子
文・構成 / 吉田伊知郎
写真 / 吉田周平
バンド「在日ファンク」のボーカル兼リーダー。俳優としても映画、ドラマ、CMなど多数出演し、観る者の心をとらえて離さない、その独特の存在感と強烈なキャラクターで世間の注目を集めている。映画『婚前特急』で第33回ヨコハマ映画祭・最優秀新人賞を受賞。
72時間—。それは、人の生死を分ける時間。甘春総合病院の放射線技師・五十嵐唯織は落ち込んでいた。大好きな甘春杏が、放射線科医としての腕を磨くため、ワシントン医大へ留学することが決まったからだ。お別れまでのカウントダウンを胸に刻む唯織のことを、ラジエーションハウスのメンバーは元気付けようとするが、唯織への秘めた想いを抱える広瀬裕乃だけは、自らの進むべき道について悩んでいた。そんな中、杏の父親・正一が危篤との連絡が入る。無医島だった離島に渡り小さな診療所で島民を診てきた正一だが、杏が父のもとに着いてほどなく息を引き取る。生前、父が気に掛けていた患者のことが気になり、島に一日残ることにする杏。そこに大型台風、土砂崩れ、そして未知の感染症が襲いかかる。遠く離れた地で杏が孤軍奮闘していることを知った唯織は、大切な仲間を守るため、苦しむ島民を救うため、ある決心をする。8人の技師たちが選んだ未来とは。「別れ」の時刻が近づいている―。
監督: 鈴木雅之
原作: 「ラジエーションハウス」(原作:横幕智裕 漫画:モリタイシ 集英社「グランドジャンプ」連載)
出演:窪田正孝、本田翼、広瀬アリス、浜野謙太、丸山智己、矢野聖人、鈴木伸之、佐戸井けん太、浅見姫香、山口紗弥加、遠藤憲一、山崎育三郎、若月佑美、渋谷謙人、原日出子、高橋克実、キムラ緑子、八嶋智人、髙嶋政宏、浅野和之、和久井映見
配給:東宝
©2022横幕智裕・モリタイシ/集英社・映画「ラジエーションハウス」製作委員会
全国公開中
公式サイト radiationhouse-movie.jp