主演を務めたピエール・ニネの魅力
池ノ辺 今回、主役の音声分析官マチューを演じたピエール・ニネさんは、監督にとって2度目の起用になりますが、ピエールさんの魅力はどういったところですか。
ゴズラン ピエールとは、前に『パーフェクトマン 完全犯罪』(2015) という作品で一緒だったので、また仕事をしたいと思っていました。今回は、彼を念頭に置いて脚本を執筆したので、彼がこの役を引き受けてくれて、とても嬉しかったです。彼がすばらしい俳優であるのはもちろんですが、観客をサスペンスの方に導くことができる才能があると、僕は思っています。つまり、観客は、マチューという役柄に共感する一方で、彼は間違った道へ行っているのではないかという疑問を持つ。この2つのことを同時にきちんと表現できる俳優だと思うのです。実際、このマチューというのは、非社会的で自分の殻に閉じこもっているちょっと難しい役なのですが、そういう性格の役柄であるにもかかわらず、観客に共感を持たせる、というのは、彼の演技の才能によって可能になっていることだと思います。
それから、お気づきでしょうか。非常に熱意を持って仕事をしているシーンで、彼は額に血管を浮き出たせるという特技があるんです。その場面を撮影するときにそれを見て非常に驚いたんですが、そうした内面的な感情をうまく表現できるということでも、非常にすばらしい俳優だと思います。
池ノ辺 劇場公開が楽しみです。
インタビュー / 池ノ辺直子
文・構成 / 佐々木尚絵
監督・脚本
1977年3月28日生まれ、フランス・オーベルヴィリエ出身。99年パリ第8大学に入学し、映画を学ぶ。03年、初の短編映画『Pellis』でヴィルールバンヌ短編映画祭にて審査員賞を受賞し、映画監督としてのキャリアをスタートさせる。07年には『Écho』でジェラルメ国際ファンタスティカ映画祭短編映画賞を受賞。10年には初の長編映画『CAGED監禁 』がスクリームフェストホラー映画祭で作品賞、監督賞等5つの賞を受賞する。その他、主な監督作品にピエール・ニネ主演作『パーフェクトマン 完全犯罪 』(15)、『バーン・アウト』(17)がある。
ヨーロピアン航空の最新型機がアルプスで墜落。乗客・乗務員316人全員の死亡が確認される。司法警察の立会いの下、航空事故調査局の音声分析官が、ボイスレコーダー、通称“ブラックボックス”を開く。いつもなら責任者のポロックに同行するのは、最も優秀なマチューだったが、天才的なあまり孤立していた彼は外されてしまう。だが、まもなくポロックが謎の失踪を遂げ、引き継いだマチューは「コックピットに男が侵入した」と記者会見で発表する。マチューの分析は高く評価され、責任者として調査をまとめるよう任命される。ところが、被害者の一人が夫に残した事故直前の留守電をきっかけに、さらなる陰謀を疑ったマチューはキャリアと命さえもかけて、危険な探求を始める。
監督・脚本:ヤン・ゴズラン
出演:ピエール・ニネ、ルー・ドゥ・ラージュ、アンドレ・デュソリエ
配給:キノフィルムズ
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公開中
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