ヨーロピアン航空の最新型機がアルプスで墜落。乗客・乗務員316人全員の死亡かが確認される。司法警察の立会いの下、航空事故調査局の音声分析官が、ボイスレコーダー、通称“ブラックボックス”を開く−−。2021年9月に本国フランスで公開された本作品『ブラックボックス:音声分析捜査』は、観客動員数120万人を突破する大ヒット作となった。〈音〉だけで事件の謎を解く驚愕のサスペンススリラーが、ついに日本公開。
予告編制作会社バカ・ザ・バッカ代表の池ノ辺直子が映画大好きな業界の人たちと語り合う『映画は愛よ!』。今回は[特別編]として、ヤン・ゴズラン監督に、撮影時の苦労、本作品への想いなどをうかがいました。
仏国家機関BEAの協力を得て描かれたブラックボックスのリアル
池ノ辺 監督、はじめまして。日本は寒いですが、フランスはいかがですか。
ゴズラン はじめまして。今週の初めはとても寒かったのですが、今はそうでもないですね。
池ノ辺 さて、映画『ブラックボックス:音声分析捜査』の予告編は弊社で作らせて頂いたんですが、監督から一箇所だけシーンを追加してほしいというリクエストがありました。飛行場の引きのシーンだったんですが、それは監督にどんなこだわりがあったんでしょうか。
ゴズラン 最初の予告編では、クローズアップが多かったので、そこにロングショットを入れてほしいと思ったんです。格納庫とか飛行機が並んでいる姿を見せることで、航空業界というものの世界観を表したかったのと、僕らが業界で言うところのプロダクション・バリュー、それを上げるという意味もありました。
池ノ辺 確かに、そのシーンを入れたことで広がりも出て良くなったと私も思いました。大事なカットだったんですね。本編ですが、最後までいろいろと展開があって、ハラハラドキドキでとても面白かったです。
ゴズラン ありがとうございます。緊迫感のある映画を作るというのが、今回の一番の目的でしたから嬉しいです。
池ノ辺 この映画の発想は、どこから生まれたんですか。
ゴズラン 実は、僕自身は飛行機に乗るのが怖いんです(笑)。と同時に、この世界に魅了されてもいます。非常に映画的な世界で、パッションを持つことができる世界であると思っていたところからですね。