Mar 31, 2021 interview

『ノマドランド』が響かせる映画の力、サーチライト・ピクチャーズが送り出すアカデミー主要6部門ノミネート作品

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『ノマドランド』が描く魂の居場所

池ノ辺 まずは『ノマドランド』が、日本でどういう形で受け入れられるか。日本の今にも通じる物語だと思うんですよ。

平山 私としては、一つの見方だけでなく、いろんな楽しみ方をしていただければと思っています。

池ノ辺 そうなんですか?

平山 この作品で表現していることのひとつは、こうしなければいけないとか、住む家をなんとか維持していくことだけが人生ではない、自由になったからこそ見える世界っていうのもあるんじゃないのかということだと思います。

池ノ辺 別の世界の可能性を見せてもらったっていうのはすごくありますよね。今の時代だからこそ、その可能性が見えてきた部分もありますし。

平山 ありますよね。そういう意味では、撮影はコロナ禍の前でしたが、やっぱり時代に先駆ける内容なんですよね。だから、アメリカの雄大な風景に身を浸すのも一つですし、社会問題からでもよいですし、もちろんアカデミー賞ノミネートも一つのきっかけですし、いろんな興味関心から見ていただきたいです。その先に主人公たちが、自分の気持ちというか、魂の居場所をどこに見つけて、どういう生き方をしていくのかということを感じ取っていただければと思っています。

池ノ辺 ぜひ映画を見て感じてもらいたいですね。アカデミー賞の結果も楽しみにしたいと思います。

インタビュー / 池ノ辺直子
構成・文 / 吉田伊知郎

作品情報
『ノマドランド』

企業の倒産とともに、長年住み慣れた企業城下町の住処を失った女性、ファーン。彼女の選択は、一台の車に亡き夫との思い出を詰め込んで、車上生活者、“現代のノマド(放浪の民)”として、季節労働の現場を渡り歩くことだった。毎日を懸命に乗り越えながら、往く先々で出会うノマドたちとの心の交流とともに、誇りを持った彼女の自由な旅は続いていく…大きな反響を生んだ原作ノンフィクションをもとに、実在のノマドたちとともに新しい時代を生き抜く希望を、広大な西部の自然の中で発見するロードムービー。

ゴールデン・グローブ賞〈作品賞(ドラマ部門)〉〈監督賞(映画部門)〉受賞、アカデミー賞〈作品賞〉〈監督賞〉〈主演女優賞〉ほか主要6部門ノミネート

監督・製作・脚色・編集:クロエ・ジャオ(「ザ・ライダー」)

原作:「ノマド 漂流する高齢労働者たち」(ジェシカ・ブルーダー著/ 春秋社刊)

出演: フランシス・マクドーマンド(「スリー・ビルボード」)、デヴィッド・ストラザーン(「グッドナイト&グッドラック」)他

配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©️2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.

公開中

公式サイト: https://searchlightpictures.jp/movie/nomadland.

池ノ辺直子

映像ディレクター。株式会社バカ・ザ・バッカ代表取締役社長
これまでに手がけた予告篇は、『ボディーガード』『フォレスト・ガンプ』『バック・トゥ・ザ・フューチャー シリーズ』『マディソン郡の橋』『トップガン』『羊たちの沈黙』『博士と彼女のセオリー』『シェイプ・オブ・ウォーター』『ノマドランド』『ザ・メニュー』『哀れなるものたち』ほか1100本以上。
著書に「映画は予告篇が面白い」(光文社刊)がある。 WOWOWプラス審議委員、 予告編上映カフェ「 Café WASUGAZEN」も運営もしている。
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