Mar 31, 2021 interview

『ノマドランド』が響かせる映画の力、サーチライト・ピクチャーズが送り出すアカデミー主要6部門ノミネート作品

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今、映画館の空間で感じること

池ノ辺 コロナもあって、『ノマドランド』は公開されるのかな? って勝手にハラハラしていたんですが、劇場公開については最初から決まっていたんですか?

平山 本作の公開に関しては試行錯誤がありました。コロナって人間の力ではコントロールできないじゃないですか。その中でも最善の方法を模索して調整してきた結果です。

池ノ辺 なるほど。でも、国によって公開できたり、できなかったりするんじゃないですか?

平山 アメリカの場合は2月19日から、劇場とHuluで同時公開という形で公開しました。アメリカもニューヨークが開き、サンフランシスコ、ロサンゼルスと、少しずつ劇場がオープンしていますから、これからも少しずつ加わっていきます。ただ、例えばヨーロッパの場合は劇場の再オープンはまだ状況が厳しいので、アカデミー賞発表後、配信で先に公開する国もあります。それは現状を踏まえた一つの方法です。

池ノ辺 アカデミー賞の結果が発表されたときに、直ぐ観たいですからね。

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平山 そうですね。日本は幸いなことに劇場が営業できていますから、この作品に関してはアカデミー賞に合わせてこちらの方で考えたプラン通りに劇場公開ができました。

池ノ辺 平山さんは、この映画を劇場で見る意味ってどこにあると思いますか?

平山 この映画の冒頭から最後まで一貫しているものというのは、あのアメリカの西部の空間の中に身を浸すことで、自分が生きていることを全身で体感することです。それって、やっぱり映画館の空間に没入することで感じられるものだと思うんです。少し外に出やすくなった時に、こういう生き方もあるということを、映画館の空間の中で感じ取っていただければと思います。