GEM Partnersが行うトラッキング、リサーチ、デジタルマーケティング
池ノ辺 それでは次にGEMさんのお話を聞きたいと思うのですが、まずGEMさんって何をしているところなの? というところを代表の梅津さんから教えていただけますか?
梅津 映画を中心としたエンターテインメントコンテンツに特化したデータ・デジタルマーケティングのサービスを提供しています。どういう人がターゲット層になるのか、どういうところが訴求ポイントになるのか、興行収入はどれくらいを目指せるのかというような個別のリサーチサービスです。それから、トラッキングで興収予測などを踏まえてデジタル広告のプランニングと実行をやります。ですから、トラッキング、リサーチ、デジタルマーケティング、この3つを提供しています。
池ノ辺 今回、GEMさんと一緒にやるにあたって、私たちも普通ではやらないことからスタートしました。それがリサーチ用の予告を作るっていうことだったんです。担当したディレクターの生駒さんから説明してもらいますね。
生駒 リサーチ用ということだったのですが、世の中に解禁している映像しかセキュリティー的にお見せできないということで、その前に作っていた超特報という15秒の映像でリサーチしていただきました。
池ノ辺 こういうリサーチ用の特報自体は、他の映画会社でも作ることはあるんです。でも今回は、リサーチした結果がどうだったかをGEMさんが具体的に説明してくれて、次の展開を考えていくというのが、目が覚めるような感覚がありました。
生駒 実際に見た方のリアクションを聞いてから次のものを作ることはあまりないので、説明をうかがってすごく新鮮だったのですが、その時に驚いたのが、この作品は幾らぐらいの興行収入を見込めるかのポテンシャルが分かるというお話でした。
池ノ辺 そう。「ここまでやれば10億だとか、こうすれば20億になる」とかGEMさんが細かく分析したんですよ。そのときは本当かな? って思ってたんですけど(笑)、本当にそうなったんだからスゴイ!
生駒 この作品に対してどういう印象を持たれているかというのをグラフにして丁寧に説明していただいたのですが、私が印象に残っているのは、「自分事としてとらえられている方がまだちょっと少ないのでは?」というお話がGEMの細田さんからあったので、自分事って何だろう?って予告を作っていく中で考えることが多かったんです。
池ノ辺 私は最初に完成した映画を観たときに、すごく昭和っぽく感じて、中野さんに「今の若い人にウケるんだろうか?」って何回も訊いたんですよ。大丈夫か〜って!(笑)
中野 観客のターゲット層は20代にしていましたが、公開されるとすぐに40代まで広がっていきました。やっぱり20年前と恋愛のありようが変わらないんですよね。いつの時代にも誰にでもあった普遍的な恋愛を、あそこまで丁寧にリアリティを持って描いた邦画は今まであまりなかったんじゃないかと思うんですよね。
池ノ辺 それが細田さんの言っていた〈自分事〉ってことね。
生駒 もうひとつ、細田さんから予告を観たあと、どういう感情になれるかはっきりしていたほうが良いというお話があったのが印象的で。まだその時は泣けるということは、はっきりと打ち出さない方向で進められていたと思いますが、やっぱりこの映画を観た後に、「切ない」だったり、「泣ける」だったり、はっきりわかった方が観に行く人たちも興味を持ちやすいというお話でした。