Oct 29, 2019 interview

ガイエ ゼネラルマネージャー大場渉太が語る 数奇な映画人生

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フランス版『シティーハンター』買い付け秘話

――その後、日活から東京テアトルに出向されて、また日活に戻ろうかというときに、ガイエさんへ移籍したわけですね。今後はどんな作品の宣伝をやるんですか?

来年公開されるのが三池崇史監督の『初恋』。久々にオリジナルで、三池さんテイストの新宿歌舞伎町のアウトローの話でありつつ、初恋をめぐる映画なんです。個人的には、最近の三池さんの作品で一番の代表作になると思います。

――他にはどんな作品がありますか?

11月29日に公開されるのが、フランスで実写化された『シティーハンター』。日本の漫画を実写化したわけですけど、もともとフランスでは『ニッキー・ラーソン』という名前でずっとアニメが放映されていて、日本と同じように人気があったんです。それをフィリップ・ラショーという『世界の果てまでヒャッハー!』という、とてつもなくくだらなくて面白い映画を撮った監督が実写化したいと言って、フランスでもまさかの『翔んで埼玉』級に大ヒットしたんですよ。

――どういう経緯で大場さんが関わったんですか?

日本の漫画原作の実写化って炎上する作品が多いじゃないですか。でも、日活で一緒にやっていたプロデューサーの千葉(善紀)さんは今、マイシアターD.D.にいるんですが、「これ面白そうだと思わない?」と言われて。「ニューセレクトの原(啓二郎)さんにも話してるんだけど、ガイエも一緒にやらない?」ってことで、そのときは向こうの予告編しか観てなかったんですけど、面白そうだから、やろうかってことになったんです。おそらくフランス公開後は、キノフィルムズかGAGAでしか買えない額になる(笑)。「もう買っちゃえ!」って、ニューセレクトさんからディールしてもらって。心配していたのが、日本の原作ファンを怒らせるような出来だったらヤバいなと思ったんですけど、フィリップ・ラショー監督は本当に『シティーハンター』が大好きで、リスペクトあふれている作品になっていて、ファンが喜ぶ仕掛けを全部用意してくれているんですよ。ちょうどフランスで実写版が公開されると同時に日本でも新作『劇場版シティーハンター  <新宿プライベート・アイズ>』が公開されたんですけど、これが大ヒットして興行収入が15億円以上行ったんです。映画館に行くと、中学生のグループから若いカップル、僕みたいな男1人の客もいるし、ご夫婦もいて、お客さんが幅広いんです。だからフランス版も上手くすれば絶対に行けるんじゃないかと思っていて。

――劇場はどこでやるんですか?

TOHOシネマズです。『シティーハンター』の舞台って新宿なので、劇場版のアニメもそうでしたけど新宿の劇場のシェアが凄いんですよ。『アナと雪の女王2』の翌週、『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の前にフランス版『シティーハンターTHE MOVIE 史上最香のミッション』が公開されます(笑)。

――すごい時期じゃないですか。

正月映画ってメジャーが来ちゃうから、昨年もそうですけど意外と大人が観るものがなくて困ることがあるんです。そうすると、11月からやっていた『ボヘミアン・ラプソディ』を「面白かったから、もう一回観よう」みたいになる。これも大人が観て楽しめる映画なので、競合する映画が他になかったら、「あっ、『シティーハンターTHE MOVIE 史上最香のミッション』やってんじゃん」ってなるかもしれない。

映画宣伝は“宜しく伝える”仕事

――ガイエさんに来て、若い人との仕事も増えると思いますが、どんなことを伝えたいですか?

やっぱり”宣伝”って読んで字のごとく、宜しく伝える作業じゃないですか。そのためには楽しいことを伝えなきゃいけない。でも、自分が楽しいと思って作品に向き合わないと、その楽しさは伝わらないと思うんですよ。だから若い人には、自分がワクワクできるようにやってもらいたいし、そのためなら僕は全然応援したいと思っていますよ。

――大場さんはいつも楽しそうにしながら、この映画は面白いって伝えていましたよね。

この世界に長年いて良いなと思うのが、普通じゃ知り合えないようなジャンルの人たちと、作品ごとに出会えるんですよね。それはやっぱり面白いですよ。直接話をせずに140字以内でやりとりする時代でしょうけど、どんなにテクノロジーが進歩してデジタルで全てが出来ると言っても、最後は誰かとちゃんと繋がっていないと人は生きていけない。繋がるためにデジタルが使われたら良いなというのは思っていますね。

――だからガイエさんを選んだのね?

そういうことです!

インタビュー/池ノ辺直子
構成・文/吉田伊知郎
撮影/江藤海彦

プロフィール
大場渉太(おおばしょうた)

株式会社ガイエ 配給宣伝事業部 部長/ゼネラルマネージャー/宣伝プロデューサー 映画祭チーフディレクター

中学2年生の時に映画業界に進む道を決める。映画宣伝会社P2でパブと映画祭を9年間従事、その後日活株式会社に入社。『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』を担当し大ヒットを記録。その後一旦退社し5年間フリーで宣伝プロデュース&様々な映画祭を担当。その後、日活に再入社して最後の4年間は東京テアトル株式会社に出向し宣伝プロデュース業を務める。担当した主な作品や映画祭に『(ハル)』『冷たい熱帯魚』『ヤッターマン』『マルホランド・ドライブ』「フランス映画祭」「サンダンス映画祭」「東京国際ファンタスティック映画祭」「ゆうばり冒険国際ファンタスティツク映画祭」。

作品情報
シティーハンターTHE MOVIE 史上最香のミッション

ボディーガードや探偵を請け負う凄腕のスイーパー「シティーハンター」こと冴⽻獠は、相棒の槇村⾹と⽇々様々な依頼を受けている。ある⽇、ふたりに危険な依頼が舞い込む。それは、その⾹を匂った者を虜にする「キューピッドの⾹⽔」の奪回。これが悪⽤されたら世界は⼤変なことに!タイムリミットは 48 時間。獠と⾹は、時間内に⾹⽔を取り戻すことができるのか!?元傭兵の海坊主、美⼈刑事の冴⼦を巻き込みシティーハンターの⾹⽔奪回作戦がはじまる————。
原作:北条司『シティーハンター』
原題:NICKY LARSON et le parfum de Cupidon
   フランス公開:2019年2⽉8⽇
監督:フィリップ・ラショー(『世界の果てまでヒャッハー!!』)
出演:フィリップ・ラショー、エロディ・フォンタン
吹替版(声の出演): ⼭寺宏⼀/沢城みゆき/⽞⽥哲章/⽥中秀幸/⼀⿓斎春⽔/浪川⼤輔/多⽥野曜平/⼟師孝也/恒松あゆみ/三上哲/伊倉⼀恵/神⾕明
配給:アルバトロス・フィルム 宣伝:ガイエ
Ⓒ AXEL FILMS PRODUCTION – BAF PROD – M6 FILMS
公式 HP:cityhunter-themovie.com

池ノ辺直子

映像ディレクター。株式会社バカ・ザ・バッカ代表取締役社長
これまでに手がけた予告篇は、『ボディーガード』『フォレスト・ガンプ』『バック・トゥ・ザ・フューチャー シリーズ』『マディソン郡の橋』『トップガン』『羊たちの沈黙』『博士と彼女のセオリー』『シェイプ・オブ・ウォーター』『ノマドランド』『ザ・メニュー』『哀れなるものたち』ほか1100本以上。
著書に「映画は予告篇が面白い」(光文社刊)がある。 WOWOWプラス審議委員、 予告編上映カフェ「 Café WASUGAZEN」も運営もしている。
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