Jan 06, 2017 interview

第6回:映画には人生を変える力がある。

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池ノ辺直子の「新・映画は愛よ!!」

Season12  vol.06 株式会社ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント 業務執行役員 映画部門日本代表 佐野 哲章 氏

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映画が大好きで、映画の仕事に関われてなんて幸せもんだと思っている予告編制作会社代表の池ノ辺直子が、同じく映画大好きな業界の人たちと語り合う「新・映画は愛よ!!」 第6回は、マイケル・ジャクソンのドキュメンタリー『THIS IS IT』など、佐野さんがソニー・ピクチャーズで手掛けられた作品についてお話を伺っていきます。

→前回までのコラムはこちら

池ノ辺直子 (以下 池ノ辺)

ソニー・ピクチャーズでは、マイケル・ジャクソンのドキュメンタリー『THIS IS IT』(2009年)、ダニエル・クレイグがボンドを演じた007シリーズ、ダン・ブラウンの原作でロン・ハワードが監督した『ダヴィンチ・コード』(06年)や『天使と悪魔』(09年)、『インフェルノ』(16年)の三部作、話題作など多くの話題作、ヒット作を手がけられましたね。

佐野哲章 (以下、佐野)

『THIS IS IT』のときは、「悪いけど、ロンドンまで言って見て来てくれ」と言われて、2泊4日でロンドンに飛びました。

最高だったなあ、感動しちゃって。

池ノ辺

マイケル・ジャクソンが公開前に急逝したこともあり、大ヒットでした。

佐野

最初2週間限定公開の予定だったの。

それでも大ヒットだったんだけど、2週間では前売りでチケット売れている分が全然、消化しきれない。

チケット買った人からクレームがきて大問題になるぞ、ということで、本社と交渉した。

1週間、2週間、3週間……って公開が延びていって、結局、興行収入52億円までいった。

あれは作戦じゃなくて、本当に観客の反応がすごかったから、公開が延長されたの。

池ノ辺

私は、上手い宣伝だと思っていましたが、そうじゃなかったんですね!

私も六本木ヒルズに初回の夜中、行きました。

まるで、コンサート会場の前のように、人がすごく群がっていました。

佐野

ひとりで何回も観た人も少なくなかったようです。

映画館なんて行ったこともないマイケル・ジャクソンのファンの子がきて、「アリーナ1枚」とか窓口で言っていたらしい。

結局、その年の映画賞総なめにしました。

池ノ辺

本社との交渉も大変だと思いますが、信頼関係があってこそですよね。

佐野

宣伝展開も日本での上映作品も交渉になりますね。

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池ノ辺

ウチが宣伝させていただいた作品でいうと、2016年公開した3本のクリスチャンの映画。

『復活』、『天国からの奇跡』、『祈りのちから』。ハリウッドのスタジオも大作じゃない作品もありますよね。

佐野

クリスチャンとしては、この3作品が公開できて、本当に幸せでした。

池ノ辺

佐野さんがとてもこの作品をやりたがっているとお聞きしていました。

佐野

2015年に『天国はほんとうにある』という小さな作品を公開しました。

仮死状態になった男の子が、その後意識を取り戻し、天国に行ってきたと語るという実話を元にした物語なんですが、日本にはクリスチャンが少ないから、公開しなくていいと本国からいわれたのですが、僕はこれで赤字にせずに1円でも利益を出せば、次の同じような作品も公開できると、一生懸命宣伝した。

全国の牧師さんに手紙を書いたり、また、姉や牧師をやっている弟など家族も巻き込んでね。

そうしたら200〜300万円の黒字になった。

さらに嬉しかったのは、『天国はほんとうにある』を観た人で、クリスチャンになったひともいるという報告も牧師さんから受けました。

これって、すごいこと。

映画は人生を変える力があるんです。

池ノ辺

その方々は、きっと映画を通して、生きる力をもらったんですね。

佐野

その映画の成功があったからこそ、今回も日本で上映できることになった。

営業が頑張ってくれて、9週間で3作品を連続上映したんです。

池ノ辺

希望が持てず自殺しちゃう若い子も多いなか、映画を観たことによって、やっぱり生きていこう、自分のため、世の中のために生きていこうと思える人たちがひとりでも多くでてくると、嬉しいです。

(文:立田敦子、写真:岡本英理)


© 2016 Sony Pictures Digital Productions Inc. All rights reserved.

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『バイオハザード:ザ・ファイナル』

カプコンが誇る世界的人気ゲームを、ミラ・ジョヴォヴィッチ主演で実写映画化した『バイオハザード』シリーズの最終章。

監督・脚本:ポール・W・S・アンダーソン 出演:ミラ・ジョヴォヴィッチ、アリ・ラーター、ショーン・ロバーツ、ルビー・ローズ、オーエン・マッケン、ローラ、イ・ジュンギ、ウィリアム・レヴィ、フレイザー・ジェイムズ、イアン・グレン、エヴァ・アンダーソン ほか

大ヒット公開中。

http://www.biohazard6.jp/

PROFILE

■佐野哲章(さの のりあき) 株式会社ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント (業務執行役員/SVP 映画部門 日本代表)

1957年生まれ。1979年に日本ヘラルド宣伝部に入社。国際部・関西営業部を歴任。 1987年-1992年、ベストロン映画アジア地区代表取締役を経て、1992年アスキー・ピクチャーズ社長に就任。1994年にポリグラム極東地区担当マネージング・ディレクター、1995年にウォルト・ディズニー・インターナショナル・ジャパン(株) 旧ブエナビスタインターナショナルジャパン日本代表を経て現在に至る。2005年11月16日株式会社ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント 業務執行役員/SVP 映画部門 日本代表に就任。

池ノ辺直子

映像ディレクター。株式会社バカ・ザ・バッカ代表取締役社長
これまでに手がけた予告篇は、『ボディーガード』『フォレスト・ガンプ』『バック・トゥ・ザ・フューチャー シリーズ』『マディソン郡の橋』『トップガン』『羊たちの沈黙』『博士と彼女のセオリー』『シェイプ・オブ・ウォーター』『ノマドランド』『ザ・メニュー』『哀れなるものたち』ほか1100本以上。
著書に「映画は予告篇が面白い」(光文社刊)がある。 WOWOWプラス審議委員、 予告編上映カフェ「 Café WASUGAZEN」も運営もしている。
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