Sep 30, 2022 interview

阿部サダヲ インタビュー 『アイ・アム まきもと』殺人鬼からおくりびとまで演じる役者の様相

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演じる役柄のオンとオフ

―― 何かに没入していたときの「牧本、今こうなっていました」というセリフが印象的ですが、阿部さんの「こうなっていた」瞬間は?

台本を読んでいるときは集中していますね。

―― 現場で苦労した部分はありましたか?

特になかったんですよね。現場も和やかだったし、共演の方たちもすごく豪華で、みなさん面白かったです。漁港のシーンで、ケータイの電波が入らないのは困りましたが、天気にも恵まれましたし(笑)。

―― 過去には苦労された作品はあったんですか。

それがないんですよ。その時はつらかったかもしれないですが、すぐに忘れてまうので。

―― 撮影がコロナ禍で1年延期になったそうですが、何か影響はありましたか?

その期間でロケハンがたくさんできたっていう部分はあるみたいです。ほかのキャストの方々も二つ返事でOKだったそうで。結果、いい方向に出ているのかもしれないですね。コロナ禍を経て、今見ると、余計に響くものがあるかもしれません。コロナ禍で人との関わりも希薄になってしまったと思うので。

―― 『死刑にいたる病』では、少年少女24人を殺した殺人鬼でしたが、今回は「おみおくり係」。役者という職業は面白いですね。

撮影の順番は逆で、こちらが終わってから『死刑にいたる病』でした。コロナ禍で撮影が止まっていた時期は結構、長かったですよね。

―― まったく違う役を続けて演じるなか、切り替えはいかがですか?

割と切り替えは早い方だと思います。ただ、ある女優さんから「いつもの感じと違う」と指摘されたことがあったんです。それはきっと前の役がまだ入っていたんだと思います。

―― ところで、巨人ファンですよね。生観戦していますか?

観戦には行けてないのですが、阿部慎之助さんに期待しています。ビールを飲みながら、昔の昭和のおじさんみたいにテレビで見ています。熱心にという程ではないのですが、これがいい時間なんですよね。

取材・文 / 平辻哲也
撮影 / 曽我美芽

作品情報
映画『アイ・アム まきもと』

小さな市役所に勤める牧本の仕事は、人知れず亡くなった人を埋葬する「おみおくり係」。故人の思いを大事にするあまり、つい警察のルールより自身のルールを優先して刑事・神代に日々怒られている。ある日牧本は、身寄りなく亡くなった老人・蕪木の部屋を訪れ、彼の娘と思しき少女の写真を発見する。一方、県庁からきた新任局長・小野口が「おみおくり係」廃止を決定する。蕪木の一件が“最後の仕事”となった牧本は、写真の少女探しと、一人でも多くの参列者を葬儀に呼ぶため、わずかな手がかりを頼りに蕪木のかつての友人や知人を探し出し訪ねていく。工場で蕪木と同僚だった平光、漁港で居酒屋を営む元恋人・みはる、炭鉱で蕪木に命を救われたという槍田、一時期ともに生活したホームレス仲間、そして写真の少女で蕪木の娘・塔子。蕪木の人生を辿るうちに、牧本にも少しずつ変化が生じていく。そして、牧本の“最後のおみおくり”には、思いもしなかった奇跡が待っていた。

監督:水田伸生

出演:阿部サダヲ、満島ひかり、宇崎竜童、松下洸平、でんでん、松尾スズキ、坪倉由幸(我が家)/宮沢りえ、國村隼

配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

©2022 映画『アイ・アム まきもと』製作委員会

公開中

公式サイト iammakimoto.jp