Jan 26, 2018 interview

『羊の木』錦戸亮×木村文乃が語る、強烈なマンガ原作の人物を演じるということ

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もしも友達が恋のライバルだったら…?役を通して気付いた他者との向き合い方

 

──宮腰と月末は友人になりますが、同時に二人は文に惹かれるライバルでもあり、そこも今作の見どころになっています。お二人は友達と同じ人を好きになってしまったらどうしますか?

錦戸 好きな人が僕のほうに気があると確信できたらいくかもしれないですけど、たいがいは自分が身を引くと思います。女の人のことで友達とケンカしたくないですし、きっと僕は友情を選ぶんじゃないかな。とは言え、それで壊れるような友情だったら正直いらないので、その時のフィーリングで決めると思います(笑)。

 

 

木村 私も、友達と好きな人のことで争うのは疲れるので、好きな人が友達を選ぶなら、二人を見守ると思います。やっぱり好きな人の幸せが自分にとっても幸せなことなので、それで納得できてしまうのではないかと。そういえば、昔、一緒にいてすごく居心地の良い友人の男性がいたのですが、その人のことが好きだと友達に告白されたことがあるんです。その居心地の良い人といると楽しかったんですけど、当時の私は付き合うことまで考えてなくて。ところが、友達がその人のことを好きなのを知って、もしかしたら自分もその人のことを好きなのかもしれないと気付いてしまうという…。月末と同じパターンですよね(笑)。

 

 

──月末と宮腰の関係も面白いのですが、安藤玉恵さん演じるクリーニング屋の店長が、田中泯さん演じる強面の元受刑者・大野に対して、最初から偏見を持たずに接する場面も興味深かったです。お二人はファーストインプレッションを大事にされるタイプですか?

錦戸 僕は誰に対しても、第一印象はあまり良く思わないことにしていて、どこかちょっと疑ってかかってしまうというか。それはこういう職業だからかもしれないですけど。でも、一緒にいるうちに良い意味で裏切られて、相手の素敵な部分を知ってどんどん好きになるんです。だからファーストインプレッションを大事にするというよりは、その人と過ごした時間によって相手の印象が変わっていくことのほうが多いかもしれませんね。

 

 

木村 話は少し逸れますが、今回の現場で言うと、共演者の方々がみなさん口下手な印象を受けたんです。思いを言葉にするのが不器用な方々が相手だからこそ、それぞれの持っている空気を大事に感じ取って演じようと意識したところはあります。

 

 

──月末は相手がどんな人でもわりと最初から心を開いていて、文は人に対してあまり心を開かない印象を受けました。それぞれの役を演じてみて、他者との向き合い方に関して気付いたことはありますか?

木村 私と文は似ている部分も多いのですが、都会の暮らしや人間関係から逃げて地元に帰ってしまった彼女とは違って、逃げずに前に進み続けた結果、信頼できる人が周りにたくさんいたことに気付けたことは大きかったです。文ももっと早く「この人も悪くない」という自分の感覚を信じていたら、素直に月末と一緒にいられたのかなと思ったり(笑)。

 

 

錦戸 確かにそうかもしれないですね(笑)。僕は月末のように、仕事だったら初対面の人とも話せるんですけど、プライベートでは初対面の人にまず心を開かないです。友達の友達だったらもしかしたら大丈夫かもしれないですけど、基本的には距離を置いてしまうんです。…とか言っておきながら、お酒の席では初対面とか関係なくなっちゃうんですけどね(笑)。