Nov 05, 2019 interview

「心の底からお芝居が好き」―鈴木亮平が語る海外進出への準備、“人生観が詰まった”映画

A A
SHARE

海外進出への準備、人生観が詰まった映画

──以前お話を伺った際に海外の作品にも挑戦したいとおっしゃっていました。英語やドイツ語が堪能なところも鈴木さんの武器かと思いますが、海外進出に向けて準備していることなどはありますか?

最近は演技用の英語のレッスンを受けています。例えば、台本を渡されてすぐに「台詞を読んでください」と言われたら、普通の方なら棒読みになると思うのですが、英語で台詞を話すとそれと同じことが起こってしまうんです。自分の言葉ならば生き生きと英語でしゃべれるのに、人が書いた台詞やト書きだと一気に固くなってしまう。それにアクセントの癖や訛りもあるので、そこを意識的になくしたり生かしたりできるようにする訓練なんかもしています。

──いまは配信系の大手会社も映画を製作する時代ですし、海外作品への出演の可能性は無限大に広がっていますよね。

そうですね。ただ、日本で役者としての実績がないと海外で通用しないこともありますから、そこを両立させていくことも大事なのではないかと。これからは必然的に多くの役者がいろんな国の作品に挑戦していく時代になっていくと思うので、そこに向けて自分はどんな準備ができるのかを考えたりもします。ですが、あまり焦りというものは感じていなくて、まだまだ日本語のお芝居も深めていきたいですし、日本だ海外だと決めつけずに、いただいた作品を丁寧にやっていくことが大事かなと思います。

──これまでに影響を受けた作品を教えてください。

ベン・スティラー主演の映画『LIFE!/ライフ』(13年)には、僕が人生に求めるロマン、そして人生観みたいなものがほぼすべて詰まっていたので、最初に観た時に衝撃を受けました。「映画ってすごいな」と。人生を変えてくれたといっても過言ではありません。主人公が世界を旅しながら目的を達成させようとする姿に、旅好きな僕としては、生まれてきたからには世界中のいろんな景色を見たいし、目の前にユキヒョウが現れたらカメラのシャッターを切らずにその瞬間を楽しむ人間でいたいなと思ったりもしました。そして、それよりももっと大事なことに気付かせてくれたのが、毎日こつこつと地下室に篭って真面目に懸命に仕事をしていた主人公の姿。それからラストも秀逸で、人生で大切なことが本当に詰まってるんです(笑)! オススメなのでぜひご覧になってみてください。

取材・文/奥村百恵
撮影/三橋優美子

プロフィール
鈴木亮平(すずき・りょうへい)

1983年生まれ、兵庫県出身。2007年に『椿三十郎』で映画デビュー。2018年のNHK大河ドラマ『西郷どん』では、西郷隆盛役で主演を務めた。近年の主な出演作に、映画『HK/変態仮面』(13年)、『TOKYO TRIBE』(14年)、『俺物語!!』(15年)、『海賊とよばれた男』(16年)、『忍びの国』(17年)、『羊と鋼の森』(18年)、ドラマ『東京タラレバ娘』『銭形警部』『宮沢賢治の食卓』(17年)、舞台『トロイ戦争は起こらない』(17年)、『渦が森団地の眠れない子たち』(19年)など。今後は映画『燃えよ剣』(2020年公開予定)が控えている。

公開情報
『ひとよ』

どしゃぶりの雨降る夜に、タクシー会社を営む稲村家の母・こはる(田中裕子)は、愛した夫を殺めた。それが、最愛の子どもたち三兄妹の幸せと信じて。そして、こはるは15年後の再会を子どもたちに誓い、家を去った――。たった一晩で、その後の家族の運命を変えてしまった夜から、時は流れ、現在。次男・雄二(佐藤健)、長男・大樹(鈴木亮平)、長女・園子(松岡茉優)の三兄妹は、事件の日から抱えた心の傷を隠したまま、大人になった。抗うことのできなかった別れ道から、時間が止まってしまった家族。そんな一家に、母・こはるは帰ってくる。15年前、母の切なる決断と残された子どもたち。みんなが願った将来とは違ってしまったいま、再会を果たした彼らが辿り着く先は――。
原作:桑原裕子『ひとよ』
監督:白石和彌
脚本:橋泉
出演:佐藤健、鈴木亮平、松岡茉優、音尾琢真、筒井真理子、浅利陽介、韓英恵、MEGUMI、大悟(千鳥)、佐々木蔵之介・田中裕子
配給:日活
2019年11月8日(金)公開
©2019「ひとよ」製作委員会
公式サイト:www.hitoyo-movie.jp