Nov 05, 2019 interview

「心の底からお芝居が好き」―鈴木亮平が語る海外進出への準備、“人生観が詰まった”映画

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『凶悪』(13年)や『孤狼の血』(18年)など日本映画界に大きな爪痕を残してきた白石和彌監督。彼が新たに手掛けた『ひとよ』は、15年前のある“一夜”の事件によって家族の岐路に立たされた母親と、その子どもたちである三兄妹のその後を描いている。本作で三兄妹の長男・稲村大樹を演じた鈴木亮平に、白石組に初参加した感想や今回の役作り、さらに「人生を変えてくれた」という映画を語ってもらった。

リサーチを重ねて作り上げた大樹役

──大樹は、子どもたちに暴力を振るっていた父親を殺めた母親に対して複雑な感情を抱いており、さらに妻との問題も抱えています。演じるうえで一番大事にしたのはどのような部分でしたか?

一番は…、やはり両親に対する大樹の思いでしょうか。というのも、彼は子どものころに、将来何になりたいか聞かれて「お母さんと結婚する」と答えるほど母親のことが大好きでした。ところが母親が罪を犯してしまい、それが自分たちを守るためにやったことだとわかっていながらも、やはり15年も離れていたのは大きかったのではないかと。愛憎が表裏一体で、愛が強ければ強いほど憎しみも強くなる。ですから15年ぶりに再会した母親に抱きしめられても、松岡茉優さん演じる妹の園子のように素直に喜べないんです。

──では父親に対して大樹はどんなことを思っていたのでしょうか?

長男なので父親から暴力を受けた期間が一番長く、なんとか生き延びるためにいろんなことを溜め込む人間になってしまったように思います。事件後、大樹は若くして結婚して子どもを授かりますが、幸せな家庭を作って「自分は親父とは違う」と証明することで父親に復讐をしたかったのではないかと。それでも自分の中にある父親の血に怯えて暮らしているので、そういう部分を手がかりに演じるようにしていました。それから、大樹は吃音でもあるため、自分の言葉で気持ちを上手く伝えられず余計に溜め込んでしまう人間になっていったと思うんです。事件のこともあって日陰を選んで生きてきたのではないか、そんなことを思いながら役を作り演じていきました。

──クランクインまでの準備として、吃音の指導を積極的に受けたり、吃音の方々との交流会に参加されたりもしたそうですね。

クランクインの半年ほど前から吃音を持つ方々にお会いしてお話を聞かせていただいたり、動画を撮らせていただいたりしました。そのような交流を通して初めて知ったのが、吃音と一言でいっても千差万別で、症状もそうですし吃音が出てしまう状況も人によって全然違うということでした。それらを理解したことで、吃音を持った方がこの映画をご覧になった時に失礼のないようにしなければ、という意識が強まったのも大きかったです。

──とても自然に演じられていたように思いますが、そういったリサーチの積み重ねから生まれたものだったのですね。

交流させていただけたのはありがたかったです。吃音をお持ちの方の中には「この喋り方に早く慣れてくださいね」といった感じで堂々とされている人もいましたが、大樹の場合は「吃音であることをあまり人に知られたくない」というタイプだと思ったので、彼なりの症状を考えながら作り上げることができました。

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