求められる役柄への理解
―― では、演じられた宮子のことは好きですか?
私は好きです。嫌いそうですか?(笑)
―― いえいえ。宮子は良くも悪くもいわゆる女の子なんだなって思ったんです。
まぁ女の子は女の子ですけど、でもなんか強いですよね。
―― どのあたりがですか?
受け入れているようで、多分あんまり受け入れていない感じとか。何も言わないのかと思ったら、突然、感情をあらわに自分の意見をはっきり言うとか。ただ漂うように一緒にいるだけではないし、特別に自分から何をしているか、というとそんな大したことは何もしていなくて(笑)。何もしていないわけではないんだけど、すごく魅力的だなと思います(笑) 。お友達になるかはさておきですけど。
―― ふわふわしていて、よく分からないのが宮子の魅力なんですかね。宮子みたいな女の子って理解できますか?
印象的だったのは、友達の蓉子ちゃんと喧嘩しているシーンですね。アスファルトに寝てるんですけど、もうめちゃくちゃな暑さで36度とか38度だったんです。
アスファルトで寝ていること自体が意味分かんないじゃないですか。それに多分自分から寝転んでるんですよ、倒されたわけでもなく。すごく宮子のことが分からなくなったシーンのひとつですね。
―― 他に宮子のことが分からなくなったシーンはありますか?
ウサギかなぁ。あれは多分、死んだ彼の飼っていたウサギということなんでしょうけど、それが普通に自分の家にいるって恐ろしいことだなって思いました。
―― それでは最後に。今後、どんな役を演じてみたいですか?
特別これが絶対にやりたいということはなくて、その時々に求めていただける場所に行くのがいいのかなって思っています。でも最近思うのは、自分が20代後半になって、演じる役が変わってきたのを感じていて、これからも歳を重ねていくにつれて、いろんなことが変わっていくと思います。
若い時にしかできないものもあると思うけど、どんどん変わっていく役柄をやり続けているからこそ、新しい役柄に巡り合うのかなとも思うので、それがすごく楽しみですね。
取材・文 / 小倉靖史
写真 / 岡本英理
ヘアメイク / 北原果、スタイリスト /石田綾
人とうまくコミュニケーションのとれない、歯科医師のススメが恋をしたのは、マッサージ店で働く宮子。しかしながら宮子は、部屋に鍵をかけず、突如連絡が取れなくなったりする、つかみどころがない女性だった。それでも、彼女と抱き合っていると、ススメは自分を縛っている自意識から解放される気がしていた。
監督・脚本:伊藤ちひろ
企画・プロデュース:行定 勲
原作:伊藤ちひろ「ひとりぼっちじゃない」(KADOKAWA刊)
出演:井口理 / 馬場ふみか / 河合優実
配給:パルコ
©2023「ひとりぼっちじゃない」製作委員会
公開中
公式サイト hitoribocchijanai.com