役者としての井口理
―― 宮子が翻弄するススメ役の井口さんとの共演はいかがでしたか?
もともとKing Gnuのライブにも行っていたし、楽曲もすごく聞いていたし、すごく素敵なアーティストだなって思っていたんです。その姿をずっと知っているんですけど、全然違いましたね、やっぱり映画の現場にいる姿は。いままでイメージしていた井口さんとは全然違いました。どんなイメージだったかと言われると‥‥本人にも言っているんですけど、なんかちょっと変な感じ(笑)。ライブでは突然、変な踊りをするじゃないですか、そんなイメージでした。
でも撮影の現場では、“king Gnu・井口理”っていうことを忘れるぐらい。もう役者さんでした。集中力が途方もなかったです。それは映像だからとか音楽だからとか関係なく、いつもそうなんだろうなと思いました。
映画の撮影のちょっと後に、millennium paradeのライブに行ったんですよ。そこに井口さんが出演して歌ってたんです。「そういえば、井口さんってめっちゃ歌うまい人だったわ」っていうのを思い出したくらい、撮影現場では完全に “俳優・井口理”でしたね(笑)。
―― “俳優・井口理”はどんな人なんでしょう?
すごく優しかったです。作品に入っていく力がすごく高くて、作品のことを理解しようとしている姿が素晴らしいなと思いました。
―― ふたりのシーンで印象的だったところってどこですか?
完成した映画を観ていて思ったのが、会話もなく、ベランダにふたり並んで、ただただトマトを食べてるだけのシーンがあるんです。それが意外と「このふたりが一緒にいることが日常になってるんだな」って感じられて印象的でしたね。
―― 井口さんではなく、ススメのことはどう思いますか?
怖いです、ススメ(笑)。
撮影中は、宮子といるときのススメしか見ていないので、出来上がったものを観て結構びっくりしました。「ススメってこんな感じ?」と思って、めちゃくちゃ怖かったです。