Aug 23, 2019 interview

高橋一生に聞く『引っ越し大名!』撮影秘話、大きな影響を受けた名優&驚かされた海外ドラマ

A A
SHARE

『超高速!参勤交代』シリーズで有名な土橋章宏の傑作時代小説『引っ越し大名三千里』を『のぼうの城』(12年)などの犬童一心監督が映画化。本作で主演を務める星野源が、突然“引っ越し奉行”に任命されてしまう引きこもり侍の片桐春之介を演じ、春之介の幼なじみで姫路藩御刀番の鷹村源右衛門を高橋一生が演じている。豪快で武芸の達人である鷹村役は高橋にとってどのような挑戦になったのか、立ち回りシーンの撮影秘話や共演者とのエピソードを語ってくれた。

鷹村は“三船敏郎ファンの武士”をイメージ

──高橋さんが演じられた鷹村は、当時の規範や政策に従いつつも犬童監督曰く「徹底して良い意味でおバカな役」というおもしろいキャラクターでした。演じるうえで何か気をつけたことなどはありますか?

基本的には台本に書かれていることを忠実に演じるようにしていました。ただ、誰目線の“忠実”なのかで役に対する解釈やお芝居が変わってくるので、なるべく台本を読ませていただいた時のおもしろさを損なわないようにと考えていました。

──剛胆なキャラということもあり、高橋さんが普段お話になる時とはまた違う発声法や話し方の鷹村が印象的でした。高橋さんは黒澤明作品の三船敏郎さんをイメージされて鷹村を演じられたと伺ったのですが、それはなぜですか?

最初に犬童監督と本作についてお話したのが衣装とカツラ合わせの時だったのですが、監督が僕を見るなり、開口一番に「鷹村は三船敏郎ファンの武士です」とおっしゃったんです。と言っても、この時代に三船さんはまだお生まれにはなっていないんですけれど(笑)。ただ、その言葉を聞いた瞬間にすごく腑に落ちたというか。実は最初に台本を読ませていただいた時、「なぜ鷹村役を僕に声をかけてくださったんだろう」と不思議だったんです。というのも、僕も「鷹村はまるで三船敏郎さんのような人だな」と感じたので…。

──ところが監督が“三船敏郎ファンの武士”とおっしゃったことで…。

「あ、なるほど!」と合点がいきました(笑)。その言葉を聞くまでは顔の作りも肉体的にも三船さんとはまったく違うのにこういう豪快な役をいただけるなんてありがたいなと思っていたので。ただ、よく考えたら三船さんの出演作をこれまでにたくさん見てきた僕の中には何かしらの“三船パーツ”が入っているはずですし、だからこそ剛胆な鷹村をスムーズに演じることができたのではないかと思います。

──撮影中は常に“三船さんのファンである武士”を意識しながら演じられていたのでしょうか?

現場ではそのことばかり意識しながら演じるというのは難しいので、台本に書かれているこの作品のおもしろさを自分の体を通して出していくことに意識を向けていました。自分の中にある“快活で剛胆”という側面をクローズアップさせて、楽しみながらお芝居していました。

──鷹村を演じて気付いたことがあれば教えていただけますか。

鷹村を演じている時の僕のマインドはとても体育会系だったので、客観的に見て「きっとこういう人が側にいるとすごく助かるんだろうな」と思ったのを覚えています。それから「こういう時に鷹村だったらどう立ち回ってくれるかな」と期待を込めながらお芝居をしている瞬間もありました。