Jun 18, 2019 interview

可愛い役は自分に近い?吉田鋼太郎、お茶目な役への共感ポイント&演技論を語る

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仕事一筋だったのに突然会社を辞めてきた堅物の父親。そんな父親のことをもっと知りたいと思った息子アキオ(坂口健太郎)が、幼い頃に一緒にやったゲーム『ファイナルファンタジー』に父を誘い、自分は正体を隠したまま共にオンライン上で冒険の旅に出る――。ぎこちなかった父と息子が少しずつ距離を縮めていく様子に思わず涙してしまう『劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』で、口下手で不器用な父親に扮したのが、硬軟を演じ分ける実力派・吉田鋼太郎。意外にもゲーマーという素顔や、話題作「おっさんずラブ」などで見せたお茶目な役についてなど、幅広く話を聞いた。

FFは1作目から!「来るべきものが来た」

――本作ではゲーム初心者という役どころでしたが、実はゲーマーだそうですね。

意外がられるんですけど、ファミコンが初めて登場したとき僕はまだそこまで大人ではなかったので、普通にゲームが好きな青年という感じでした。それに喫茶店にあったインベーダーゲームとかは僕らの世代ですから、100円玉を積み上げてやっていて。その頃からずっとゲームをやっています。

――『ファイナルファンタジー』もプレイされていましたか?

はい。1作目からずっと。ただオンラインには手をつけていなかったので、今回この映画への出演が決まってからやってみようと思いました。でもプレイしたのが、『ファイナルファンタジーXV:戦友』っていう、映画とは違うゲームだったんですよ(笑)。現場でみんなといろいろ話をしていたら、どうも話がかみ合わなくておかしいなと思っていました(笑)。

――(笑)。1作目からプレイされていたということは、このお話が来たときは嬉しかったのではないでしょうか?

はい。来るべきものが来たという感じですね(笑)。

――本作では“よくいる普通のお父さん”を演じていらっしゃいますが、こういう普通の役はあまり演じていないから少し不安に思われたそうですね。

舞台だとセリフがたくさんあって、丁々発止でやり取りし合うというお芝居が多いですから、今回のようにあまりセリフがない役をこれまでやったことがなかったんです。例えばアキオに、「友達申請したいんだけどどうすればいいんだ」と聞く、その一言が勝負。そこに全集中力をかけなければいけなかったので、難しさをひしひしと感じました。

――お父さんは不器用だけど実はちょっとお茶目な面もあって可愛かったです。

実際は寡黙でコワモテというか、とっつきにくいお父さんですけど、ゲームの中で“インディ・ジョーンズ”と名前をつけてマッチョなアバターにしたり、家族に隠れてゲームしていて見つかったらバツが悪そうにしているのは、ちょっとお茶目かもしれないですね。そう思っていただけたら成功かなと思います(笑)。

――本作は、家族だからこそ素直になるのが気恥ずかしいという父子の姿が描かれますが、吉田さんご自身も何かをきっかけに家族に対してちょっと素直になれたというエピソードはありますか?

父もお酒が好きなんですが、僕が大学に入って一緒にお酒を飲みに行くようになってから、いろんな話をするようになったということがありました。それまでは日常生活の中で一緒にいる時間は少なかったんです。僕は僕で、大学に通ったりお芝居をしたりで忙しかったこともあって。でも何かのきっかけで、二人で飲みに行こうとなって。父親と二人で酒を飲むなんてちょっと窮屈だろうと思ったんですけど、それがあまりにも楽しかったので、以来、クセになってしょっちゅう一緒に飲みに行っていました。あるとき、父が酔って父と母の秘密みたいなことを口にしたことがあったんですよ。それを聞いてから俄然、父親の気持ちがわかるようになって、ずいぶん距離が縮まりました。男同士というのもあるかもしれないですけど。