Feb 16, 2018 interview

【ヒュー・ジャックマンに聞く】アクションとミュージカルの共通点、そして娘との意外なエピソード

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参考にした本は37冊!バーナムとの共通点は“家族との時間”を大切にすること

 

──演じたP.T.バーナムは本も出しています。今回、何か参考にしましたか?

彼にまつわる本を、合計で37冊も読んだよ。「富を築く技術」といった有名な著作はもちろんだが、バーナムは自伝だけで3冊も書いている。それらの内容は、すべてバラバラで、どれが真実かわからない(笑)。2冊目を書いた時、バーナムは1冊目を買い占めて焼却してしまったらしい。自分の本が「聖書の次に売れた」と宣伝したりして、とにかく大風呂敷を広げる人だったのさ。美女の胴体を切断して笑ってるマジシャンに似ているかもね。本気では信じてないけど、なんとなく誰もが騙されちゃうんだよ。

──どこまでが真実か、どこまでが作り話かわからない人生なのですね。

バーナムの人生を描いたら、おそらく映画10本は作れるだろう。ものすごく独創的で、革命的な人物だったのは事実だ。この『グレイテスト・ショーマン』は、彼の人生を土台にしているけど、フィクションの部分も多い。ショービジネスの起源を描くのが目的だったからね。

 

 

──そんなバーナムと自分が重なる部分はありますか?

仕事を優先しすぎた時期もあったけど、僕が一番大切にしているのは家族との時間だ。そこはバーナムと似ている。ただ、バーナムと妻の関係は、僕とちょっと違うかな。バーナムは家にいても常に仕事のことを考えてしまう。僕の場合、妻に「仕事のことは忘れて」と忠告されたら、すぐに従うよ。僕の妻は、映画で描かれたバーナムの妻ほど忍耐強くないからね(笑)。

 

 

ウルヴァリン役は「なぜか受かってしまった」?!共通するのは“肉体の柔軟性”と“振付”

 

──もともとミュージカルの舞台を経験して、ウルヴァリン役でアクションスターになったわけですが、どちらのジャンルも両立させてきましたね。

将来はシェイクスピアなんかをやる、と考えながらドラマスクールへ通っていた時、仲間同士の企画で賞を設けて、僕が受賞したのは“一番ジェームズ・ボンドになれそうな人”という賞だった。まぁ、似合いそうだよね(笑)。だからウルヴァリン役は、ちょっとイメージと違うと思ったんだ。

──そうは言っても、オーディションでウルヴァリン役を掴んだのですよね。

あのオーディションは、ナショナルシアターでミュージカルの『オクラホマ!』に出演していた時だね。ちょうど役柄でパーマをかけていたので、野球帽をかぶって受けたんだけど、なぜか受かってしまった(笑)。でもよく考えれば、アクションとダンスは同じなんだ。パンチを受けるときも、肉体の柔軟性が要求される。そしてアクションシーンでは、ダンスのように細かい“振付”が存在する。ウルヴァリンは爪が武器で、P.T.バーナムは杖を持って踊るし、その程度の違いだよ(笑)。

 

 

──では最後に、P.T.バーナムはサーカスの世界のレジェンドですが、あなたがサーカスで演じたい役は?

うーん、やっぱりバーナムのようなリングマスター(舞台監督)かな。命の危険もある空中ブランコや綱渡りをやる勇気はない。あとはピエロがいいね。かつて僕はピエロの仕事をしたこともあったから、今でもやれそうだよ(笑)。

 

取材・文/斉藤博昭

 

プロフィール

 

ヒュー・ジャックマン

1968年、オーストラリアのシドニー生まれ。オーストラリアのTVシリーズや『美女と野獣』『サンセット大通り』『オクラホマ!』などの舞台ミュージカルで人気を博した後、『X-メン』(00年)のウルヴァリン役でアメリカ映画デビュー。一躍トップスターとなり、『LOGAN/ローガン』(17)まで同役を演じた。ミュージカル出身の本領を発揮した『レ・ミゼラブル』(12)ではアカデミー賞主演男優賞で候補入りを果たした。他の出演作に、『ニューヨークの恋人』(01)、『ヴァン・ヘルシング』(04)、『プレステージ』(06)、『プリズナーズ』(13)など多数。ブロードウェイの舞台でも活躍しており、2012年にはトニー賞の特別賞を受賞した。

 

作品情報

 

映画『グレイテスト・ショーマン』

19世紀半ばのアメリカ。妻と二人の娘を幸せにすることを願うバーナムは、オンリーワンの個性を持つ人々を集めたショーをヒットさせ、成功を掴む。しかしその型破りなショーには反対派もいた。裕福になっても社会に認められない状況に頭を悩ませていたバーナムだったが、ヴィクトリア女王に謁見するチャンスを得る。そこでオペラ歌手ジェニー・リンドと出会ったバーナムは、彼女の全米公演を成功させれば世間から認められると考え、アメリカツアーに全精力を注ぐことを決意。だが彼の行く手には、すべてを失いかねない波乱が待ち受けていた。第75回ゴールデン・グローブ賞のミュージカル/コメディ部門で作品賞と男優賞に候補入りし、主題歌「This is Me」は主題歌賞を受賞。同曲はアカデミー賞でもノミネートされている。

監督:マイケル・グレイシー
出演:ヒュー・ジャックマン、ザック・エフロン、ミシェル・ウィリアムズ、レベッカ・ファーガソン、ゼンデイヤ 音楽:ジャスティン・ポール&ベンジ・パセック
配給:20世紀フォックス映画
©2017 Twentieth Century Fox Film Corporation
2018年2月16日(金)公開
公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/greatest-showman/