Mar 08, 2018 interview

岩田剛典、単独初主演映画『去年の冬、きみと別れ』を語る。共演の斎藤工・北村一輝から受けた刺激とは?

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劇中で対峙した斎藤工・北村一輝から受けた刺激、座長としての心構え

 

──撮影中、共演の斎藤工さん(天才カメラマン・木原坂雄大役)と北村一輝さん(担当編集者・小林良樹役)と食事に行ったそうですね。

クランクインしてからずっと「一緒に食事に行きたいね」という話をしていたんですけど、なかなか3人のスケジュールが合わなかったんです。でも主要キャストが全員揃うシーンの撮影で、3日くらいかかる予定が巻いて2日で撮り終ったので、そのタイミングで、夜に3人で食事に行きました。4~5軒ハシゴして朝までコースで、最後はスナックに行って(笑)。

 

 

 

──すごく盛り上がったんですね。

芝居の話とかではなく、プライベートな話が多かったですけど、工さんも北村さんも映画人なので、自然と映画の話になっていました。最近観た作品や自分のやりたいものを語っていらっしゃって、僕はそれを聞いているような立場だったんですけど、映画に関するいろいろなお話も聞けましたし、すごく良い会でしたね。もともと工さんと北村さんは長いお知り合いだったんですけど、こうしてゆっくりご飯に行くのは初めてだったらしいです。

──ちなみに誰が一番、お酒が強かったんでしょうか?

やっぱり北村さんが強かったと思います。全然変わらないですから(笑)。

 

 

──斎藤さん、北村さんから役者として刺激を受けた点はありましたか?

お二人とも全然タイプが違うんです。工さんはわりと淡々とされていました。現場では、耶雲と木原坂として距離を置いていたのであまり話をしなかったんですけど、出番の時の存在感や熱量がすごかった。北村さんは飄々としていましたね。ベテラン俳優さんならではの余裕を感じました。僕は集中すると他が見えなくなるような感じでしたけど、北村さんはずっとニコニコしているような感じで(笑)。でも本番になるとスッと変わって、カットがかかった瞬間にまたニコニコおしゃべりが始まって…という感じで、メリハリがハッキリされていました。お二人とも全然違うので、やっぱりそれは刺激的でしたね。

──斎藤さん、北村さんとはそれぞれ対峙するシーンが多かったですよね。

そうですね。お二人のテクニックを盗むとかそういうことより、目の前で貴重な芝居を見せていただいたという感じでした。

 

 

──今回、単独初主演ですが、座長としていかがでしたか?

座長としてなんて、とてもそんなことを言える感じじゃなかったと思いますけど(笑)、なるべく自分なりにコミュニケーションを取るつもりではいました。役のことだけに集中して共演者の皆さんと全く話さないようなことはしたくなかったし、だからこそ、セリフを覚えるとか自分が出来ることは最低限してから現場に行って、ある程度、自分の中で余裕を持っていようという気持ちでしたね。でもそれこそ、記者として一人ひとり訪ねていくようなシーンは、本当に一期一会で、その日だけで終わってしまう。僕は毎日現場にいるけど、例えば(婚約者・松田百合子役の山本)美月ちゃんでさえも4日くらいしか一緒じゃなかったんです。連ドラとかと違ってずっと誰かといるというより、一人でいるシーンも多かったんですよ。一日中、ずっと一人で歩いているだけという時もありました(笑)。

 

 

現場では追い込まれるも「監督と同じ熱量で現場にいたかった」

 

──瀧本監督の演出を受けてみて、いかがでしたか?

現場でのディレクションにはいつも追い込まれていました。何度も同じテイクを撮ったり、次の日の撮影に関係してくるから「寝ないよね?」ってプレッシャーをかけられたり(笑)。でもそういうことを、監督も一緒にやってくれるんですよ。撮影中、監督がみるみる痩せていったので、理由をお聞きしたら、朝、現場に来る前に5km走っていたそうで。毎日、頭をすごく使うから気持ちを整理させるためにフレッシュな気持ちで現場に立ちたいからという理由からでした。それくらい、瀧本さんもすごく集中する監督なので、そういう意味では(自分と)やり方が合っているのかなと思いました。僕も監督と同じ熱量で現場にいたかったですし、「寝ないよね」と言われたら「そんなの当たり前じゃないですか」と返したかった(笑)。そうしてかけてもらっていたプレッシャーも、役のため、芝居のためですから。とても頼もしかったですね。

 

 

──耶雲は、結婚する前に大きな仕事で勝負したいと言ったり、仕事にのめり込むあまり婚約者のことをおろそかにするような描写があります。岩田さんご自身は、仕事とプライベートの関係性はどのようにお考えですか?

僕は家庭を持っていないので、あまり守るものがないんですよね。だから今は、“自分の人生、1回きり”と思って好きなことを追求している人生なのかなと思います。ただ、両親がまだ元気なので、元気なうちに恩返ししたいという気持ちはありますね。なかなか一緒に過ごせる時間を取ることが難しい職業に就いていますが、両親は自分の活動を応援してくれているので、一緒に過ごせない時は自分の仕事を見てもらって元気だよというアピールをするくらいしかできないですけど(笑)。いつか家庭を持ったりすると、生きる意味や目標が、自分以外のところにベクトルが向かうだろうとは思いますが、今はそういうことを深く考えなくていい立場というか、身軽な感じですね。