- 古川:
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ほかに安彦先生が感心されたクリエイターはいらっしゃいますか?
- 安彦:
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『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』が幸せなのは、いい総作画監督とメカ作画監督がいることですね。西村博之さんと、鈴木卓也さん。もうこの二人に任せておけば間違いない。作画監督は要中の要なので、盤石の体制を作れたことは本当に良かったと思っています。
- 古川:
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そして、現在は第5話を制作している最中だと思うのですが、どういったところが見どころになるのでしょうか?
- 安彦:
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第5話「激突 ルウム会戦」、第6話「誕生 赤い彗星」からなるルウム編では、漫画原作にないシーンをかなり多く作りました。カイの出番もしっかりありますので、ぜひまた若々しい声をお願いします。今回のように、一言二言でお疲れさまというわけにはいきませんから。
- 古川:
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やっぱりそういう役者の演技を見て、次のエピソードの内容を変えると言うことはあるんですか?
- 安彦:
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ありますね。もうちょっと欲しいな、って。まさにカイもそれで出番を増やすことにしています。
- 古川:
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ありがとうございます(笑)。では、最後に『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の今後に向けた意気込みを聞かせていただけますか?
- 安彦:
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おかげ様でまだ元気だし、絵も描けるので、やるべきことをきちっとやっておきたいですね。『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』をこのままにしておけないという気持ちがあるので、過去編はもちろん、本編もきちんとアニメにしたい、やり遂げたいと思っています。
ただね、昔と違って、短い期間でワーッと作れるものではなくなっているので、本当に大変です。以前のように、さぁやっつけちゃおうっていうわけにはいかない。でも、何とかやりきりたいな、と。スタッフには「大変だけど、やり遂げたら、それは50年持つものになる」って言っています。
- 古川:
-
確かに!
- 安彦:
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ただ、その上で、やっぱり私の本業は漫画家なので、漫画家としてやりたいこともあるんですよ。それを両方追って良いものかというのは悩ましいところですね。
実は以前、一度、アニメを辞めたのは、やりたいことが分からなくなってしまったからなんです。ところがここにきて、ガンダムも漫画もやりたいということになっている。この歳になって描きたいことがある、それをやらせてもらえるというのは本当に幸せなことだと思っています。
- 古川:
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私にとっての幸せはそんなガンダムに今でも関わらせていただいていることですよ。
- 安彦:
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古川さん以外のカイはありえませんから。今日は古川さんがカイをやり続けていきたいと聞けて良かったです。
- 古川:
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もちろんですよ! 最初は何人もいる脇役の1人だと思っていたのですが、今では自分の代表作の1つになっているのだから、本当にありがたいことです。ずっと皆さんにガンダムを、カイを愛していってほしい。日本の金字塔的ロボットアニメですからね。個人的にもずっと応援していきたいです。
構成・文 /山下達也 撮影 /江藤海彦
http://www.gundam-the-origin.net/
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』
安彦良和 (著), 矢立肇 (原案), 富野由悠季 (原案), 大河原邦男 (メカニックデザイン)
KADOKAWA / 角川書店
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