苦労した“兄”としての心情、物語を動かすキーマンへのアプローチ方法
──それぞれが演じた役に対して、どんな事を思いましたか?
福士 自分は、実際は末っ子なので、天火の“兄”の心情というものが分からずに悩んでいたんです。でも、悩んでいるだけでは答えは出ないので、その時その時に何が出来るかを考えた後、自分から積極的に動いて、そこに愛情を乗せることを意識していました。
──すごくいい三兄弟に見えましたよ。
福士 そうだと嬉しいです。撮影時は、耀人はすぐに「弟です!」という感じで寄ってきてくれたので助かりました(笑)。
桐山 子犬のようだよね(笑)。
福士 犲の皆に対しても、積極的に話すことによって、関係性がどんどん膨らんでいけばいいなと思いながら演じていました。
桐山 僕は台本を読ませていただいた時に、白子は物語を動かすキーマンだと思ったんです。だからこそ、彼が持つ本来の姿をベースにキャラクターを作り上げていきました。それはまるで、黒い部分に白を足していく作業。結果的にはグレーでいるような感覚で演じていました。観てくださる方に、“白子は信頼のおける存在”でありながら、何かを伝える空気を出さなくちゃいけないなと思ったので、細かい目の動きなどを、分かるか分からないかくらいの程度で入れ込んだんです。この細やかな演技にも注目していただきたいです。
──さて、“笑え”というテーマがある今作ですが、お二人の笑顔の源を教えて下さい。
福士 自分はなんでも笑ってしまうんです。自分で話している途中でも笑っちゃうくらいで…。
桐山 確かに、笑いのツボは浅いよね(笑)。僕は、最近はコロコロチキチキペッパーズさんにハマっています。ネタも好きですし、ナダルさんのあの声はズルいですよね(笑)。
──最近、ナダルさんは映画にも出演されていましたよね。
桐山 そうなんですか?!共演してみたい!
福士 ずっとツボって笑ってそう(笑)。
桐山 間違いないわ(笑)。蒼汰は?
福士 自分もお笑いが好きで、最近はジャルジャルさんにハマっています。
桐山 移動中とかにお笑いを観るのは良いリフレッシュになるよね。
「シュールな作風が大好き」(桐山)、「何度読み返しても面白い」(福士)と語る愛読マンガは?
――ありがとうございました。では最後に、otoCoto(オトコト)ではみなさんに好きな本やマンガをお伺いしています。「曇天に笑う」以外で、お二人の愛読書を教えて下さい。
桐山 僕は地獄のミサワさんの作品です。あのシュールな作風が大好きなんですよ。上から目線の腹が立つ言動や描写が面白くて(笑)、ハマっているんです。自分なら絶対相手に言えないようなことを言ってるから、ちょっとした憧れがあるのかもしれません(笑)。
福士 僕は「ドラゴンボール」です。従兄弟から完全版を譲り受けて、何度も読み返しているんです。一番好きなキャラクターは少年期の悟飯。すでに実力は父である悟空を超えているのに、メンタルが弱いからやられてしまうんです。その頃、ベジータへの仲間意識が出てくるところもすごく良いんです!皆さん知っている作品だとは思いますが、何度読み返しても面白いので、次は悟飯に注目して読んでみてほしいです。
取材・文/吉田可奈
撮影/三橋優美子
福士蒼汰(ふくし・そうた)
1993年生まれ、東京都出身。2011年に俳優デビュー。NHK連続テレビ小説「あまちゃん」(13年)で主人公の初恋相手を演じ、2014年のエランドール賞新人賞に輝いた。『好きっていいなよ。』、『イン・ザ・ヒーロー』、『神さまの言うとおり』(14年)で第38回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。その他の映画の出演作に、『図書館戦争』シリーズ(13年・15年)、『ストロボ・エッジ』(15年)、『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(16年)、『ちょっと今から仕事やめてくる』(17年)など。2018年は『ラプラスの魔女』(5月4日公開)、『BLEACH』(7月20日公開)、『旅猫リポート』(10月26日公開)が控えている。
桐山漣(きりやま・れん)
1985年生まれ、神奈川県出身。2009年の「仮面ライダーW」でTVドラマ初主演。主な出演作にドラマ「37歳で医者になった僕~研修医純情物語~」(12年)、「空飛ぶ広報室」(13年)、「ロストデイズ」(14年)、「傘をもたない蟻たちは」(16年)、映画『大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]』(12年)、『群青色の、とおり道』(15年)、『呪怨 -ザ・ファイナル-』(15年)、『カノン』(16年)、『新宿スワンII』(17年)など。現在、出演ドラマ「ドルメンX」が放送中で、劇場版が2018年に公開予定。日仏合作映画『海の底からモナムール』、ドラマ「デイジー・ラック」(4月20日~放送)が待機中。
映画『曇天に笑う』
明治維新後の滋賀県・大津。300年に一度よみがえり、人間に災いをもたらすというオロチ(大蛇)の復活が近づいていた。曇神社を継ぐ曇(くもう)家の長男・天火(福士蒼汰)と、次男の空丸(中山優馬)、三男・宙太郎(若山耀人)の曇三兄弟は、オロチを封じるために立ち上がる。一方、政府の精鋭部隊・犲(やまいぬ)のリーダー・安倍蒼世(古川雄輝)らも、違った方法でオロチの力を封印しようと動き出し、最強の忍者集団・風魔一族もオロチの力による政府転覆を企んで暗躍。曇三兄弟と犲、風魔一族が三つ巴の戦いを繰り広げる。
映画『曇天に笑う』
原作:唐々煙「曇天に笑う」(マッグガーデン刊)全6巻+外伝
監督:本広克行
脚本:高橋悠也
音楽:菅野祐悟
出演:福士蒼汰、中山優馬、古川雄輝、桐山漣、大東駿介、小関裕太、市川知宏、加治将樹、若山耀人、池田純矢、若葉竜也、奥野瑛太/東山紀之
主題歌:「陽炎」サカナクション(NF Records/ビクターエンタテインメント)
配給:松竹
©2018映画「曇天に笑う」製作委員会 ©唐々煙/マッグガーデン
公式サイト:donten-movie.jp
https://youtu.be/8tEHNoVA9L4
「曇天に笑う」唐々煙/月刊コミックアヴァルス
2011年から2013年に連載された唐々煙による人気コミック。めまぐるしく変わる激動の明治時代、滋賀県琵琶湖を舞台に三兄弟の物語が繰り広げられる。2014年にはTVアニメ化、翌年には舞台化された。現在、「曇天に笑う」の300年前を舞台にした前日譚「煉獄に笑う」が連載中。2017年夏に「煉獄に笑う」が舞台化、12月にはアニメ『曇天に笑う〈外伝〉~決別、犲の誓い~』が公開され、熱烈な支持を集めている。
「DRAGON BALL 完全版」鳥山明/週刊少年ジャンプ
「週刊少年ジャンプ」(集英社)にて1984年から1995年まで連載された伝説的コミック。主人公・孫悟空を中心に、7つ集めるとどんな願いも1つだけ叶えられるドラゴンボールを巡るストーリーが展開する。完全版のブックカバーはすべて鳥山明による描き下ろしで、カラーページも忠実に再現されている。
地獄のミサワ
「俳優伝説」(08年)で第68回赤塚賞に準入選してデビュー。2010年、「ジャンプスクエア」(集英社)でギャグ漫画「カッコカワイイ宣言!」の連載を開始。2014年から2017年まで、同誌で「いいよね!米澤先生」が連載された。顔のパーツが中心に寄った特徴的なキャラクター画やナルシストな台詞など、シュールな作風で人気を集めている。