神木隆之介の“芝居の運動神経”、有村架純が持つ“芯の強さ”
──では改めて役者としての神木さんの魅力を教えてください。
神木くんは芝居の運動神経が本当に鋭いし長けています。普通に走る姿もめちゃめちゃかっこいいし、『るろうに剣心』(『~京都大火編 / 伝説の最期編』/14年)を拝見していても、神木くんってこんなアクションできるんだ! と思って。某CMで運動がまったくできないキャラクターを演じていますけど、むしろ運動が下手な芝居をする方が難しいと思うのに、それができちゃうのがそもそも運動神経が良いんだなと驚愕しました。お芝居に関しても、まばたきなどの微細な調節をミリ単位でできる役者さんなので、撮っていてワクワクします。こういう反応してほしいと思って何度かカットを変えるんですけど、そのたびにそのフォーカスをカチッと合わせてくる。テンションを全く変えずに同じ芝居をずっとできる方で、自分の頭の中でイメージすることと外から見える表現が完全に一致してるんですよね。俳優として本当に優れていると思いました。
──なるほど。ヒロインの有村架純さんは本当にかわいくて悶絶するほどでした。
毎回、ヒロインは今までの作品とは違った美しさだったり魅力を引き出したいと思っているので、そう感じてもらえると嬉しいですね。お芝居の部分では架純ちゃんをキャスティングできて良かったのは、例えば『ストロボ・エッジ』(15年)や「ひよっこ」(17年)でも揺れ動く感情のお芝居がものすごく上手いんですけど、実は本人が持つ芯の強さがこの作品の後半の展開にすごくマッチするような気がしていたからです。特に前半ではごくごく普通のかわいらしい女の子を演じてくれたので、のちに出てくる強さがより活きてきましたね。
──確かにそうですね。特に葵が手紙を読むシーンは神々しさすら感じました。ヒロインが美しくかわいいのは三木監督ならではだなとも思いました。
どんな映画でも、ヒロインに恋ができれば僕はいい映画だな、この映画好きだなって思うんです(笑)。もちろんストーリーテリングを大事にしますけど、やっぱりヒロインを好きになってもらうのは大事ですね。
監督として重視するポイント、こだわって演出した浜辺のシーン
──三木監督は次回作が注目される監督のおひとりだと思いますが、原作ものも多い中、どのような点を重視して作品を選ぶのでしょうか?
キャラクターがいかに成長していくか。どんな物語を描くにしても、キャラクターがあるべき姿に向かってもがいていくところにフォーカスを当てたいと思うんです。その点があれば僕は自分なりの描き方ができると思っています。もちろん本作でもそういう要素がありましたし、大事にしたポイントで、人が人生の中で大きな選択をしなければいけない時に何を選びとるのかというテーマは、誰でも身近なこととして自分に重ね合わせて考えられる物語ですし、共感できますよね。
──ところで三木監督の作品は胸キュン描写が抜群で、廣木隆一監督、新城毅彦監督と共に「胸キュン映画三巨匠」と呼ばれることもあるそうですが、今回も神木さんの上半身裸とかバックハグなど、ドキッとしたりキュンとするシーンがありましたね。
ファンサービスは意識してるかもしれないですね(笑)。でも面白いのは、神木くんと架純ちゃんは共演経験が多いので、何なら姉弟みたいに見えちゃって。浜辺でデートするシーンは最初アドリブではしゃいでる感じでやってと言ったんですけど、もう姉弟がキャッキャしてるようにしか見えなくて、ちょっと狙ってるのと違うぞって(笑)。二人が意思疎通ができすぎているので、もうちょっと恋人としてのある種の照れとか距離感を表現してほしい、カップルとして意識してほしいと思って、そのシーンはこだわって演出しました。