Feb 11, 2019 interview

神木隆之介&有村架純は姉弟のようだった?三木孝浩監督『フォルトゥナの瞳』こだわりの演出、音楽への想い明かす

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今も創作のモチベーションに繋がる、サントラを聴いた時の感覚

 

──ありがとうございました! では最後に、「otoCoto」では皆さんに影響を受けた作品をお聞きしているので、三木監督にも挙げていただきたいのですが、よく大林宣彦監督作品を挙げていらっしゃいますよね。

『時をかける少女』など「尾道三部作」には大きな影響を受けていますが、それ以外ということですよね(笑)?

──そうだとありがたいです(笑)。

僕は音楽からインスパイアされることが多かったです。影響を受けた作品はいっぱいあるんですけど、僕が小学生の頃はまだビデオがめちゃくちゃ高くて自分では買えなかったので、映画に感銘を受けたらその映画のサントラを買っていました。カセットテープで買って、そのサントラを聴きながら物語を脳内再生するということが自分の想像力を高めてくれていたのかなと思います。例えば、細野晴臣さんの『銀河鉄道の夜』や、宮崎駿監督作品の久石譲さんのサントラとかすごく好きでしたね。高校の通学の時とか、きれいな夕焼けの中に音楽がかかると、自分の人生がなぜか映画の世界と地続きになる瞬間を感じて。まるで自分が物語の中の一部にいるんじゃないかという感覚が、今も自分の創作に対してのモチベーションに繋がっていると思います。

 

 

──MVも多く手掛けていらっしゃいますもんね。

そうですね。音楽を聴くといろんな映像が自分の中に浮かんでくるというのはやっぱりありますね。音と映像は密接にリンクしているので、毎回劇伴にもこだわります。映像と同じくらい音楽を毎回大事にしています。

取材・文/熊谷真由子
撮影/三橋優美子
スタイリスト/小田優士(Creative GUILD)

 

プロフィール

 

三木孝浩(みき・たかひろ)

1974年生まれ、徳島県出身。多数のMVを監督し、MTV VIDEO MUSIC AWARDS JAPAN 2005 最優秀ビデオ賞などを受賞。JUJU feat. Spontania「素直になれたら」での世界初のペアモバイルムービーで、カンヌ国際広告祭2009 メディア部門金賞などに輝いた。2010年、映画『ソラニン』で長編監督デビュー。『僕等がいた』(12年)は、邦画初の二部作連続で公開された。他の主な代表作に『陽だまりの彼女』(13年)、『ホットロード』『アオハライド』(14年)、『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(16年)、『坂道のアポロン』(18年)などがある。

 

作品紹介

 

『フォルトゥナの瞳』

幼少期に飛行機事故で家族を失った木山慎一郎(神木隆之介)は、友人も恋人も作らず仕事のみに生きてきた。しかしある日、死を目前にした人間が透けて見える能力“フォルトゥナの瞳”を持っていることに気づき、生活が一変。自分の力に苦悩する日々の中、偶然入った携帯ショップで桐生葵(有村架純)に出会う。明るく、自分に夢や自信を与えてくれる彼女に心惹かれていき、孤独だった慎一郎の人生に初めて彩りが生まれる。互いに惹かれ合った二人は幸せな日々を過ごしていくが、それもつかの間、突然街ゆく人々が次々と透け始めてしまう。そして、ついには葵までもが…。愛する人の“死の運命”が見えた時、慎一郎はどのような選択をするのか――。

原作:百田尚樹「フォルトゥナの瞳」(新潮文庫刊)
監督:三木孝浩
脚本:坂口理子 三木孝浩
出演:
神木隆之介 有村架純
志尊 淳 DAIGO 松井愛莉 / 北村有起哉
斉藤由貴 時任三郎
配給:東宝
2019年2月15日公開
© 2019「フォルトゥナの瞳」製作委員会
公式サイト:fortuna-movie.com

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原作本紹介

 

「フォルトゥナの瞳」百田尚樹/新潮文庫刊

作家デビュー作「永遠の0」や「海賊とよばれた男」などの百田尚樹が2015年に発表した恋愛小説。突然、“他人の死の運命”を視る力を手に入れ、主人公・慎一郎の生活は一変する。葵と出会い、初めて女性と愛し合うことを知った慎一郎の「死の迫る人を救いたい」という思いは、無情にも彼を窮地へと追いやり…。

 

三木孝浩監督が影響を受けた映画

 

『時をかける少女』大林宣彦 監督作/83年

筒井康隆によるジュブナイルSF小説の最初の映画化作品で、公開から約35年を経ても今なお愛される不朽の名作。本作が映画デビューとなった原田知世が主演を務めた。大林宣彦監督の『転校生』(82年)、『さびしんぼう』(85年)とあわせて「尾道三部作」と称されている。

 

三木孝浩監督が影響を受けたサウンドトラック

 

『銀河鉄道の夜』細野晴臣/テイチクエンタテインメント

細野晴臣が、宮沢賢治による童話を原作とした長編アニメーション映画『銀河鉄道の夜』(85年)のために書き下ろしたサウンドトラック。1985年のリリース以来、33年を経て「特別版」が発売されており、ボーナストラックおよび細野晴臣が所有していた貴重な未発表音源が多数収録されている。