Feb 11, 2019 interview

神木隆之介&有村架純は姉弟のようだった?三木孝浩監督『フォルトゥナの瞳』こだわりの演出、音楽への想い明かす

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死を目前にした人が透けて見えるという特殊な“瞳”を持つ主人公が愛する人のためにした究極の選択に涙する『フォルトゥナの瞳』。メガホンを執ったのは『くちびるに歌を』(15年)や『坂道のアポロン』(18年)などの三木孝浩監督。みずみずしい青春描写や役者の新しい表情を引き出すことに定評のある監督に、神木隆之介&有村架純の魅力をはじめ、作品について聞いた。

 

愛されるファンタジー作品の魅力、慎一郎を「ただのヒーローにしたくなかった」

 

──今回、脚本も手掛けていらっしゃいますけど(坂口理子と共同執筆)、原作小説を脚色するにあたって意識したことは?

架純ちゃんの葵というキャラクターを膨らませたいと思いました。ラブストーリーですし、観ている人に“究極の選択”のリアリティを感じてもらうためには、この人を失いたくないと思わせたかったので、慎一郎(神木)との幸せな時間をよりキュートに感じてもらいたかったんです。

──原作を読んで思われたことは?

この原作に限らずなんですけど、ファンタジーって日常生活を送る中では考え付かない自分への問いかけができると思っていて。非日常的な物語だからこそ、自分が同じ状況に陥ったらどうするんだろうって考えるきっかけにできるのが好きなんです。本作もありえない設定ではあるんですけど、ある種のメタファーでもあって、愛する人や家族が危機に陥った時、自分の選択ひとつで運命が変わってしまう状況ってゼロではないと思うんですよね。そういう時に自分はどうなってもいいから誰かを助けたいと思うのか、どんな選択をするのかは、こういう物語に出合ったからこそ考えられると思うんです。

 

 

──主人公と自分を重ね合わせて考えられるということですね。

いざ自分がその選択をする時、怖気づくんじゃないかと不安になるかもしれないし、でもそういう行動をする尊さはやっぱりみんなが感じるところだと思いますし。もちろんそういう状況に直面しなければ答えは出ないと思いますけど、それを自らに問いかけるということだけでもすごく価値があると思うんです。だから数多あるファンタジー作品がみんなに愛される理由なんじゃないでしょうか。この作品では観ているお客さんが慎一郎に自分を重ねて、その選択を感じてもらえればいいなと思いました。

──ファンタジーというジャンルであってもリアルに落とし込めるという。

そうですね。だからこそ慎一郎というキャラクターをただのヒーローにしたくなかったんです。間違うし悩むし、悩みゆえに相手を傷つけてしまうとか人間味がありますよね。そこも観ている人が自分と重ねられるんじゃないかなと思いますし、どんな選択をするのか同じ気持ちでクライマックスに向かってくれたら、この映画をより楽しんでいただけるんじゃないかなと。

 

 

──慎一郎がヒーローじゃないっていうのは、神木さんが演じることによってより説得力が増したと思います。

原作を読みながら神木くんのイメージがかなりありました。神木くん自身、「SPEC ~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~」(10年)とかに出演していますけど、どちらかと言うと今まで神木くんが演じてきてない、男らしさの部分も今回は見たかったです。実は芯の強さとかかっこよさの部分が本人に合うなと思いましたし。

 

 

──そうですね。それに神木さんは初の本格ラブストーリーだったのでドキドキしました(笑)。

あはははは(笑)。「あの神木くんが!」みたいにファンの方がザワザワしてたというのは聞きました。でもそういう仕草もかっこいいんですよ。

──ラブストーリーで活きるであろう神木さんのかっこよさを出そうと狙ってました?

はい、狙ってました(笑)。