夢だった優しい父親役、ブラピからの影響
──滝藤さんが演じた父親は、最初は犬を飼うことに反対しますが、最終的にはルーの小屋まで作ってしまうような素敵な面も見せていました。演じるにあたりどんなことを意識していましたか?
15年間、監督が温めてきた企画なので、「こう演じてほしい」というのがすごくハッキリしていたんです。なので何かを発信するというよりは、サヤカの成長をどう見守っていこうかということを大事にしました。この父親は娘の意見をとても尊重していて、さらにサヤカに自分で考えさせるというところがいいですよね。僕とは真逆ですよ(笑)。役ではサヤカが答えを出すまでずいぶん待ってましたけど、僕自身はスーパーせっかちなので、あんなに待たないですからね(笑)。
──近年では連続テレビ小説『半分、青い。』(18年)や『花のち晴れ~花男 Next Season~』(18年)など、父親役を演じる滝藤さんを観る機会が多い気がしますが、何か気をつけていることはありますか?
油断するとすぐに狂気を秘めた人間の目になっちゃうから、そこは気をつけてます(笑)。今回の映画の父親は優しいじゃないですか。こういう父親役をやるのがずっと夢だったんです。30代は犯人役のオファーはすべて受けていました。40代になっても『花のち晴れ~』の息子にとても厳しい父親役(笑)。穏やかな役も狂気的な役も両方やっていきたいと思っているので、今回のような役はすごくありがたいです。
──4人のお子さんを持つお父さまでらっしゃるので、滝藤さんに優しい父親役のお話がくるのは当然かと思っていました。
テレビでもそういった話をしていますしね(笑)。僕が子どもをたくさん欲しいと思ったのは、じつはブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーの影響もあるんです。たくさんの子どもたちを連れて空港を歩いている映像を見て、カッコイイなと思って(笑)。まぁ、でも授かりものですからね。あと、僕『ゴッドファーザー』(72年)と一緒なんです。
── 一緒というのは?
『ゴッドファーザー』でマーロン・ブランド演じるドン・コルレオーネの家族構成が父(ドン)・母・長男・次男・三男ときて一番下が女の子。僕の家族とまったく同じなんです。『ゴッドファーザー』は昔からすごく好きな映画なので、偶然とはいえ不思議と運命のようなものを感じてしまって。こんなことってめったにないじゃないですか(笑)。