Nov 23, 2019 interview

「断られたことで海外を目指そうという覚悟ができた」―斎藤工が語る映画への熱き想い

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じつは『ベイブ』好き/2019年を代表する作品

――斎藤さんにとって忘れられない映画はなんでしょうか? 以前は、北野武監督のデビュー作『その男、凶暴につき』(89年)を挙げていたようですが…。

もちろん北野監督の作品は大好きです。でもじつは『ベイブ』(95年)のような作品も大好きなんです(笑)。

――『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(15年)のジョージ・ミラー監督が製作・脚本を手掛けたファミリー映画ですね。子豚が牧羊犬を目指すという、かなり奇天烈なストーリーでした。

子豚のベイブ、かわいいなぁ~って思いました(笑)。最近観た映画ですごいと感じたのは、新海誠監督の劇場アニメ『天気の子』です。『天気の子』がすごいのは、街の景観だけでなく、商品名や企業名もそのまますべて映し出していることです。これってアニメだけでなく、実写映画でもやってこなかったことだと思うんです。ほとんどの映画は劇場公開後にTV放映されることを前提にしているので、CMの関係上から企業名は映らないようにしてきたわけです。映画って、実在しないものをさもあるように見せることも大事ですが、逆に実在するものをきちんと見せることも大切だと思うんです。『君の名は。』(16年)でもできなかったことを、『天気の子』はやってみせた。Netflixオリジナルドラマ『全裸監督』と同じくらい、2019年を代表する革命的な作品だったと思います。

――『天気の子』は東宝の川村元気プロデューサーの存在が大きいようですね。

川村さんは、リスクを冒すことを恐れずに新しいものに挑もうとするプロデューサーだと思います。僕の初監督作『blank13』や今回の『MANRIKI』の制作を引き受けてくれた「イースト・ファクトリー」もすごい会社だなと感心しています。普段はTVのバラエティ番組を手掛けている制作会社なのに、よく受けてくれたなと。感謝しかないです。

――みんなが新しいことへ理解を示すだけでも、おもしろい社会になりますよね。

そう思います。それぞれが、自分のやりたいことをやるってことは大事だと思うんです。『blank13』もそうでしたし、『MANRIKI』を作ったことで新しい仲間が増えていることを実感しています。先日は『シン・ウルトラマン』のクランクイン前にスタッフ、キャストみんなでお祓いをしたんですが、東宝の常務取締役の市川南さんも来られていて、ちょっとビビりながらもお話させていただきました。TVドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(14年)や映画『昼顔』(17年)で得た“昼顔”俳優のイメージも、うまく使っていければなと。

――俳優としてメジャーな作品での実績があるから、インディーズシーンでもいろいろと挑戦できる。

メジャーでもやっていることでの説得力もあると思うんです。この間、PFF(ぴあフィルムフェスティバル)の最終審査員を白石和彌監督たちとさせてもらい、これからの日本映画を支えていくことになるだろうインディーズの若い監督たちと繋がる機会がありました。PFF出身の岩切一空(いわきり・いそら)監督もすごい才能の持ち主なので、「おもしろいことやりたいね」と話しているんです。才能はあっても、なかなか新作映画を撮ることができない厳しい状況がありますが、岩切監督みたいな人材は海外に紹介したいと思うんです。日本の若い監督たちの中には、第二の園子温監督、第二の是枝裕和監督になれる才能の持ち主がたくさんいます。もちろん、これからが楽しみな俳優も大勢います。彼らが伸び伸びと活躍できるような場を用意できればいいなと思うんです。

取材・文/長野辰次
撮影/三橋優美子

プロフィール
斎藤工(さいとう・たくみ)

1981年、東京都生まれ。2001年に俳優デビュー。『虎影』『リアル鬼ごっこ』(15年)、『団地』『無伴奏』(16年)、『昼顔』(17年)、『去年の冬、きみと別れ』(18年)、『家族のレシピ』『麻雀放浪記2020』(19年)など多くの映画に出演。WOWOWの情報番組『映画工房』のMC、雑誌『映画秘宝』でコラムを連載するなど大の映画マニアとして知られる。出演待機作に2020年公開予定の『ヲタクに恋は難しい』『Fukushima 50』『糸』、2021年公開予定の『シン・ウルトラマン』など。『blank13』(17年)に続く監督作『Life in a box』『COMPLY+−ANCE』の公開も待たれる。

公開情報
『MANRIKI』

日本。秩序と混沌の国。美と醜の国。過度な経済成長で得た豊かさの代償として、国民はさまざまなコンプレックスを抱えている。醜きを覆い隠し、美しきことのように振る舞う。奥ゆかしさともいえるその性は、この国の様式美そのものなのだ。整形しているモデルのほうが仕事が多い。駆け出しのファッションモデルが仕事欲しさに小顔矯正を決意。美容クリニックを営む美しき整顔師に小顔矯正施術を依頼し、モデルは変身を遂げる。整顔師の猟奇的哲学と万力によって…。ざる蕎麦を食べたのち、整顔師はクリニックを去り、新たな野望の地へ向かう。場末の街で美人局をするフーテンと年増。彼らと整顔師が突如遭遇することにより、物語は加速していく――。
企画・プロデュース:齊藤工 永野
原作・脚本:永野
監督・脚本・編集:清水康彦
出演:斎藤工 永野 金子ノブアキ SWAY   小池樹里杏   /   神野三鈴 ほか
音楽監督:金子ノブアキ
配給:HIGH BROW CINEMA、東映ビデオ
2019年11月29日(金)公開
©2019 MANRIKI Film Partners
公式サイト:crush-them-manriki.com

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