古沢作品に影響を与え続けている70年代の名作
――毎回、クリエイターのみなさんに愛読書や影響を受けた作品について語ってもらっています。古沢さんは脚本家になる前は、漫画家を目指していたと聞いています。
そうですね……。影響を受けた作品というと、テレビアニメシリーズ『機動戦士ガンダム』(テレビ朝日系)になるかな。
――ファーストガンダムですね。アムロたちの属する地球連邦とシャアのいるジオン公国、どちらの立場に立つかで世界が変わって見えてくる作品ですよね。
僕の場合は、キャラクターの設定に強い影響を受けているんです。例えば、男同士の話を描く時は、アムロとシャアの関係性にしてしまう(笑)。それにセイラみたいなお姫さまっぽい女性がいて、ミライさんみたいな母性のある女性に、フラウ・ボゥみたいなお転婆な幼なじみもいて……みたいな。ベタではあるんですが、『ガンダム』で描かれているキャラクターの関係性って、黄金律だなぁと思いますね。
――放送から40年経っても古さを感じさせませんよね。70年代のテレビアニメだと『ルパン三世』(日本テレビ系)も人気でしたが……。
それはもちろん。『コンフィデンスマンJP』も確実に影響を受けています。多分、モンキー・パンチ先生の原作コミックは全巻読んでいると思います。
――『ルパン三世』はアニメシリーズより原作コミックからの影響が強いんですか。
そうですね。原作の『ルパン三世』だと、最初の頃は設定が決まってなかったんです。次元大介がルパンの味方だったり敵だったり、毎回のように変わってたんです。峰不二子とかも、みんな設定が違うんです。エピソードごとに関係性が変わっていた。『コンフィデンスマンJP』も、そんな感じにしてみたかったんですが、そこまでテレビでやるのはさすがに難しかったですね。原作の『ルパン三世』も後半になってくると、アニメの影響を受けて設定が固定化されていくんです。それはそれで安心して楽しんでいましたけど。でも、原作初期の毎回のように設定が変わるのは、すごいなと思っていました。
――4月11日にモンキー・パンチさんが亡くなられたのが残念です。
『ルパン三世』のあの気持ちのいい荒唐無稽さには憧れがあります。『コンフィデンスマンJP』で少しでも、それが出来ていたらうれしいですね。モンキー・パンチ先生がお元気だったら、今回の劇場版のイラストを描いてほしかった。すっごくかっこいいダー子たちにきっとなっていたでしょうね。
取材・文/長野辰次
撮影/名児耶 洋
1973年生まれ、神奈川県出身。2002年に第2回テレビ朝日21世紀新人シナリオ大賞に応募し、『アシ!』で大賞を受賞。脚本家としての代表作に、映画『ALWAYS 三丁目の夕日』(05年)、『キサラギ』(07年)、『探偵はBARにいる』(11年)、『ミックス。』(17年)、テレビシリーズ『ゴンゾウ 伝説の刑事』(08年/テレビ朝日系)、『外事警察』(09年/NHK)、『鈴木先生』(11年/テレビ東京系)、『リーガル・ハイ』(12~14年/フジテレビ系)ほか多数。
悪人を騙し続ける百戦錬磨のコンフィデンスマン(=信用詐欺師)のダー子(長澤まさみ)、ボクちゃん(東出昌大)、リチャード(小日向文世)、そして五十嵐(小手伸也)。次なるターゲットは、香港マフィアの女帝で、その冷酷さから“氷姫”という異名を持つラン・リウ(竹内結子)。彼女が持つと言われている伝説のパープルダイヤを狙い、一行は香港へ。ランに取り入ろうと様々な策を講じるが、なかなかエサに食いつかず苦戦する。そんな中、天才詐欺師ジェシー(三浦春馬)が現れ、同じくランを狙っていることが判明。さらに、以前ダー子たちに騙され恨みを持つ日本のヤクザ・赤星(江口洋介)の影もちらつき始め、予測不可能な展開に。騙し騙されの三つ巴の戦いを制するのは誰なのか――。
監督:田中亮
脚本:古沢良太
出演:長澤まさみ 東出昌大 小手伸也 / 小日向文世 / 織田梨沙 瀧川英次 Michael Keida / 前田敦子 佐津川愛美 岡田義徳 桜井ユキ / 生瀬勝久 山口紗弥加 / 小池徹平 佐藤隆太 吉瀬美智子 石黒賢 / 竹内結子 三浦春馬 江口洋介
配給:東宝
2019年5月17日(金)公開
©2019「コンフィデンスマンJP」製作委員会
公式サイト:https://confidenceman-movie.com/
テレビアニメ化や『ルパン三世 カリオストロの城』(宮崎駿監督)などの映画版、OVA、ゲーム化など、さまざまなメディア展開が現在も行われている。今年4月11日、モンキー・パンチは肺炎のため永眠。5月31日にはスピンオフシリーズの最新作『LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘』が公開される。