Sep 29, 2023 interview

中井友望インタビュー 演技って難しいけど、演じていて凄く楽しかった『サーチライト-遊星散歩-』

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―― 先程、沖田(修一)監督もとても好きで『おーい!どんちゃん』(2023)を観に行って勇気を出して監督に話しかけたと言っていましたが、どの作品をご覧になって「いつか出演したい」と言えるほど好きになったんですか。

最初に観たのは『横道世之介』(2013)です。その後に『南極料理人』(2009)を観て『キツツキと雨』(2012)、『モヒカン故郷に帰る』(2016)、沖田監督のファンになったのはその4作品を観てからです。

―― 沖田監督のガチファンですね。去年観た映画の中で私が一番好きなのは『さかなのこ』(2022)なんです。

面白かったですよね。私はのんさんが大好きなんです。凄く良かったです。お芝居をしている姿が“人間、生き物”という感じがして、その雰囲気が好きで女優として憧れでもあります。

―― 今、自分が人生を一歩ずつ歩いている中で大事にしていることはなんですか。

無理しないこと、ですね。自分が無理してると思った時は、好きな本を読み返したりしています。私は西加奈子さんの本が好きで、凄くしんどい時などに読み返しています。読み終わった後に「もう大丈夫」って思うんです。

―― 西加奈子さんの作品で何がオススメですか。

ずっと好きで読んでいるのは「きりこについて」です。冒頭「きりこはブスである」という言葉から始まるんですけど、自他共に見た目がイマイチだと認める女の子が、ある時、自分は大丈夫になって、大丈夫じゃない人を救い上げるストーリーです。猫も登場するのですが、その猫はお喋りをするんです。是非、読んでみてください(笑)。

か細い声で少し恥じらいながらも映画の話となると目を輝かせて語ってくれる中井友望さん。心から映画を愛していて、演じることに喜びを感じていることが肌感でもわかるインタビューでした。『ベイビーわるきゅーれ』シリーズ続投で役の活躍も楽しんだと伝えると「アクションも好きなんです」と微笑んだ中井さん。彼女しか表現できない儚さと透明性と強さが本作には染み渡っているのです。

取材・文 / 伊藤さとり
撮影 / 奥野和彦

ヘアメイク:横山雷志郎(Yolken)
スタイリスト:粟野多美子

作品情報
映画サーチライト-遊星散歩-

若年性認知症を発症した母親の世話をしていた父親が他界し、一人で母の面倒を背負い込んでしまう主人公の内田果歩。父が生きていた頃には、想像もしてないかった絶望の日々‥‥。

友達や学校の先生にも、困窮した状況を相談できない果歩。ある日、学校のトイレットペーパーを大量に持ち帰ろうとしていたところを同級生の上野輝之に見つかってしまう。5人兄弟の大家族で家計を支える為に新聞配達するほど、余裕のない生活を送っていた輝之は、同じように貧困で苦しんでいそうな果歩が気になりはじめる。輝之は果歩と仲良くなろうと試みるも、心に余裕がない果歩には鬱陶しく感じられる。そんな中、果歩は学校の先輩が「JK散歩」をしていることを知る。生活費も底をつき、母を守る為に、果歩は禁断の「JK散歩」の扉を開いてしまう。

監督:平波 亘

出演:中井友望、山脇辰哉、安藤聖、都丸紗也華、詩野、西本まりん、安楽涼、山中崇

配給:SPOTTED PRODUCTIONS

©「サーチライト-遊星散歩-」製作委員会

10月14日(金)全国公開

公式サイト searchlight-movie

伊藤 さとり

映画パーソナリティ
年間500本以上は映画を見る映画コメンテーター。 映画舞台挨拶や記者会見のMCもハリウッドメジャーから日本映画まで幅広く担当。 自身が企画の映画番組、俳優や監督を招いての対談番組を多数持つ。 映画コメンテーターとしてCX「めざまし8」、TBSテレビ「ひるおび」での レギュラー映画解説をはじめ、TVやラジオ、WEB番組で映画紹介枠に解説 で呼ばれることも多々。 雑誌やWEBで映画評論、パンフレット寄稿、映画賞審査員、 女性監督にスポットを当てる映画賞の立ち上げもおこなっている。 著書「2分で距離を縮める魔法の話術」(ワニブックス)。 2022年12月16日には最新刊「映画のセリフでこころをチャージ 愛の告白100選」 (KADOKAWA)が発売 。
伊藤さとり公式HP: https://itosatori.net