―― 今、自分が大切にしていることは何ですか。
“無限ではない”ということを認識しました。お芝居も永遠に続けることは出来ない。もしかしたらいつかは、お芝居をするという自分の時間に区切りをつける時が来るかもしれないと。終活ではありませんが、自分の役者としての終わりを見据えるようになりました。だからこそ今は、“怖がらずに色々な作品に出演したい”と思っています。『めんたいぴりり』も“この先もずっと続けられたらいいな”と思いますし、新しい役者さん、新しい監督、自分が知らない世代の方たちとも組んで作品を作れたらと思っています。
“これで終わり”と思った時に後悔はすると思いますが、「たくさんやった、楽しかった」といって区切りをつけることが出来るように1つ1つの作品を楽しむと共に、“色々な方たちと仕事をしたい”と思っています。
―― お仕事以外の余暇はどう過ごされているのですか。
今は娘が大学推薦を取れるように「推薦取るんだよ〜」とピシッ、ピシッとやっています(笑)。「この中間、そして期末。日々の提出分。これがあなたの大学推薦に関わっている!」と毎日言っています。今はそこだけです。
―― 尊敬します!仕事をしながら子育ては経験してみると、特に大変な気がしています。
仕事を持っている、持っていないに関わらず大学推薦は世のお母さんの祈りですよね。「どうか先生、お願いします!」って感じです(笑)。娘や塾の先生は「テストの結果が大事」と言いますが、「先生は日々の提出物も見ているはず」って言いますし。子どもに「頑張れ、頑張れ」と言いながら応援しています。今は、娘の大学推薦に向けて頑張りたいと思っています(笑)
「無限ではない」という富田靖子さんの言葉。出会いは永遠ではないし、仕事も永遠ではないから日々の出会いや人との関係を大切にするという思いは、さりげない会話でも伝わってくるものがありました。それは、本作の舞台挨拶でも色んな人に話が振られるように、さりげなく会話を持っていくだけでも人柄が伝わってきました。子育ても「めんたいぴりり」と一緒に学んだ、と言う富田靖子さん。食卓を囲む大切さと、人と向き合って生身での会話をすることで「人への思いやりが育まれる」ことを伝える「めんたいぴりり」だから、多くの人に長きに渡り愛される作品なのです。
取材・文 / 伊藤さとり
写真 / 奥野和彦
福岡の下町、中洲の⼀⾓に⽴ちあげた⾷料品店『ふくのや』。店主の海野俊之と妻・千代⼦、従業員たちが今⽇も忙しく働いている。そんな折、『ふくのや』の店先にタコ焼き屋の屋台が現れる。通⾏や営業の妨害だと町の⼈や従業員たちは敵意を剥き出しにした。それでも俊之、千代⼦はそんなツルを笑顔で迎え⼊れる。そんな中従業員の松尾は、ツルの提案したゲームに乗り、負けてしまう。みっちゃんにいいところを⾒せたい松尾は、時間がある時に逆にツルの店を⼿伝う⽻⽬に。しかし、夜な夜などこかに出かけるツルは、地⾯のあちこちを掘り返し何かを埋めている。近所の住⼈もそれは怪しいと、警察も巻き込む騒動になっていく。ツルは、住⺠たちの追求から懸命に庇う松尾に対して、ついに⽳を掘っている秘密を話すのだった。
監督:江⼝カン
出演:博多華丸、富⽥靖⼦、⻫藤優(パラシュート部隊)、瀬⼝寛之、福場俊策、井上佳⼦、増永成遥、菊池拓眞、酒匂美代⼦、ゴリけん
配給:クロックワークス
Ⓒ2023「めんたいぴりり」製作委員会
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