May 25, 2023 interview

酒井大地 & 原愛音インタビュー 改めて映画を作る楽しさを知った『僕の町はお風呂が熱くて埋蔵金が出てラーメンが美味い。』

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地方で撮影された映画の魅力。それはその土地へ行ってみたくなる空気感と、役者がその場で大きく息を吸って、伸び伸びと演じていることで生まれるキャラクターの深みだと思います。本作『僕の町はお風呂が熱くて埋蔵金が出てラーメンが美味い。』は富山県射水市を舞台に、高校生グループが地元の危機を救おうと奮闘する青春映画です。主人公・トオル役に、スターダストプロモーション主催「第1回スター☆オーディション」男子部門グランプリを受賞した酒井大地さん、そんなトオルが片想いをしている同級生・花凛役には原愛音さんが扮し、泉谷しげるさんや丘みつ子さん、富山県で活躍しているタレントやオーディションで選ばれた地元の人々と共演しています。今回はフレッシュな俳優のお2人、酒井大地さんと原愛音さんにお話を伺います。

―― 富山県でのオールロケはいかがでしたか。

酒井 : 楽しかったです。

原  : 楽しかったですね。私自身の撮休の時でも2週間ほぼずっと現場に行っていました。撮影が終わっても4人で遊んでいて、4人でずっと一緒に過ごしていた印象があります (笑) 。

酒井 : 撮影がない日もサイクリングに行ったりしていたので、3週間ぐらいはずっと一緒に居ましたね、本当に(笑)。

―― 映画からも仲良し感が出ていました。撮影に入る前から交流をしていたのですか。

酒井 : 撮影が始まる2日前に撮影場所である富山県に入りました。

原  : その2日間でグッと仲良くなった感じです。

酒井 : 初日の初対面の時に、本多繁勝監督と僕と【佐伯挙 (アゲル) 】役の宮川元和くんと【釣佳樹 (ヨシキ) 】役の長徳章司くんの4人で温泉に入ったんです。そこから裸の付き合いをしています。この3人とは緊張することなく過ごすことが出来ます (笑) 。

―― 酒井さんには演技経験がありますが、宮川さんや長徳さんはオーディションで出演が決定したので、今回が初めての映画出演になります。お2人はどんな感じでしたか。

酒井 : やはり2人とも最初は凄く緊張していました。でも男3人のワチャワチャを作品に残す感じだったので緊張していては駄目だと思って、僕がずっと「いける、いける、大丈夫、大丈夫」と声を掛け続けていました。

―― 2人にアドバイスなどされたのですか。

酒井 : “ちゃんとやらないと”と思い自分自身が精一杯だったので、2人にアドバイスなんか全然出来なかったです。自分自身を勇気づける為に2人のことを勇気づけて、2人を勇気づけることで僕自身も“出来るのではないか”と、まるで暗示をかけるような感じでした。

原  : 酒井くんは言葉ではなく行動で示すタイプだと思います。今、不安そうに話しをしていましたが、私から見たら全然不安そうに見えなかったです。撮影以外でもずっとワチャワチャしているというか、台本でも2人が不安そうにしていたら「ここはこうした方がいいんじゃない」と軽い感じに伝えていて、私には2人も重く構えることなく演じることが出来ていたように見えました。

酒井 : 自然に出来ていたということですかね (笑) 。

―― 冒頭のシーンは特に素晴らしかったです。水路で男子3人が撮影ごっこをした後、走り出した原さんが船で登場するというあの一連の流れが映画らしくて大好きです。

原  : 面白いですよね (笑) 。

酒井 : 実はあのシーンからクランクインでした。最初のシーンでおもちゃの拳銃を撃つ【ヨシキ】君が「これ5発撃つんだよね。6発以上撃ったらどうなるの?これさ、これさ」と凄く緊張していたんです。最初があのシーンで本当に良かったと思っています。あのシーンは全部一発撮りだったんです。2分ぐらいだったと思うんですが、ノーカットでの撮影だったので頑張りました。

原  : 私は船で登場、インパクトが凄いですよね(笑)。船が橋の下を通ってから移動してこの場所で台詞を言うとか、台詞を言うタイミングや場所も決まっていたんです。

酒井 : 波が凄かったよね。船だから波に揺れてしまう、だからカメラに映ってはいけない時に映ってしまったりして、波が落ち着くまで撮影を待つこともありました。結構、大変な撮影でした。

原  : 波待ちしたよね (笑) 。

―― 2人の神社でのシーンもまるで覗き見をしているような画になっていて、とても印象に残っています。あの後半のシーンはアドリブですか。

原  : 私もあのシーン、好きです。最後のベビーカステラを食べるシーンは2人のちょっとした感じを雰囲気に合わせたアドリブで表現しました。「これ、パサパサするよね。喉乾かない?」みたいなちょっとリアルな感じを撮られています (笑) 。

酒井 : 2人で真面目なシーンを撮る前とかも男3人でワチャワチャしていたんです。“あのシーンを撮る”となった時は事前準備というか、監督を交えて3人でディスカッションして、アドバイスをたくさん頂いて撮影に臨みました。

原  : 印象に残っているシーンです。色々な角度から撮るので、その都度、「もう少しこうして欲しい」と監督から指示が入るんです。そこが自分的にも一番大変でした。とても力を入れたシーンです。

―― ラストシーンもそうですが、さりげなく素顔が垣間見れる。そこが、この映画の魅力でもあると思います。この年齢でしか撮れない特別な時間のようにも見えました。エンドロールを含め、カメラを止めないで撮影していたのは本多監督の意図ですか。

酒井 : ラストシーンの原さんとのくだりの後の5分半はずっとアドリブだったんです。撮影する前は5分半続くと思っていなかったんです。“この後に20秒ぐらいアドリブを撮るのかな?”と思っていたら「5分半するよ」と言われて、どうしようと思いました。でも本番になるとめちゃくちゃ3人が仲良しだったので、ふざけ合ったりして、何でも話していました。あのシーンが一番のアドリブです。

原  : 出番の後、私は端の方でそんな3人の楽しそうな様子をずっと見ていました (笑) 。