―― そんな宮沢さんの最近観たオススメ映画を教えて頂けますか。
最近観た作品だと『RRR』(2022) です。実は、これまでインド映画をちゃんと観たことがなくって‥‥、初めて映画館でインド映画を観たんです。“これぞ、エンタメ”というか、何でもありのストーリーで (笑) 表現の仕方や描き方もこれまで自分が観て来た映画とまったく違うアプローチではありましたが、何かスカッとする瞬間があったり、感動的なシーンもあったり、熱くなったり興奮したり、喜怒哀楽をあの3時間で激しく体験することが出来ました。それがとても面白かったです。
僕は1人で映画館へ観に行ったのですが、映画が終わった瞬間に「うわ~、どういうこと?どう思った?」と皆が話し始める姿を久しぶりに観て、これこそ本当にエンターテインメントが目指しているところだとも思いました。終わった瞬間に作品の事を誰かと話したい、共有したい、そんな気持ちになる本当に素晴らしい作品だったと思います。
―― 5分に1回見せ場がある映画ですよね。
最初は3時間と聞いて“途中で眠くなるところもあるのかな?”と思ってもいたのですが、まったく眠くなることはありませんでした。次から次へと何かしらのイベントが起きて、楽しかったです (笑) 。
―― 主人公の【ビーム】【ラーマ】以外にも色々な登場人物が居ますが、もしあの中で演じるとしたらどの役を演じたいですか。
自分が出演していることが想像出来ないです (笑) 。でも、あの踊り「ナートゥ・ナートゥ (Naatu Naatu) 」(第95回アカデミー賞歌曲賞受賞) は踊ってみたいです。あの踊りは観ているだけでクセになりますよね (笑) 。
どの役にも誠実に向き合い、インタビューでもしっかりと自分の言葉を持っている宮沢氷魚さん。やはりマイノリティの人物を演じるとなると社会への伝え方も含め、普段以上に慎重になりがちですが、宮沢さんは臆すことなく、学ぶことでインプットし、演技という形でアウトプットするスタイルで社会に問いを残しているようでした。これを機に「ちょっと変わった主人公」ではなく「発達障がいの主人公」と言い切れる作品が世に出て欲しいと願っています。だって世界は様々な人の感性で成り立つグラデーションなのだから。
取材・文 / 伊藤さとり
写真 / 奥野和彦
出版社で雑誌編集者として働く小向春は、仕事も恋もうまくいかない日々を送っていた。ある日、春は取材で、「青い絵しか描かない」ことで有名な画家・屋内透と出会う。思ったことをストレートに口にし、感情を隠すことなく嘘がつけない屋内に、戸惑いながらも惹かれていく春。屋内が持つその純粋さは「発達障がい」の特性でもあった。ただ、人の顔色をみて、ずっと空気ばかり読んできた春にとって、そんな屋内の姿がとても新鮮で魅力的に映るのであった。周囲が心配する中、恋人に怪しまれながらも、屋内にどんどん気持ちが傾いていく春だったが、「誰かの気持ちを汲み取る」ということができない屋内にふりまわされ、思い悩む。さまざまな “はざま”で揺れる春は、初めて自分の心に正直に決断する。
監督・脚本:葛里華
出演:宮沢氷魚、小西桜子、細田善彦、平井亜門、葉丸あすか、芦那すみれ、田中穂先、鈴木浩文
配給:ラビットハウス
©2022「はざまに生きる、春」製作委員会
5月26日(金)全国ロードショー
公式サイト hazama.lespros