Oct 07, 2022 interview

板谷由夏インタビュー 『夜明けまでバス停で』で伝えたかった“助けて”と言っていい社会

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―― 私は古参のホームレスを演じられている柄本明さんと出会ってからの、逆に奮起する【三知子】の一連の姿が凄いと思いました。「流石、高橋伴明節」と興奮しました。

あそこは確かに救われますよね。私は【三知子】は自分が不幸だと思っていなかったのではないか?と思っていて、どこかで“こんなことになるわけない”と思っている人。ちょっとのんきな部分を持っている人が転げ落ちていく。【三知子】はそんな強さを持っている人だと思っています。

―― 【三知子】というキャラクターに対して危うさを感じませんでした。だからこそ、怖かったです。そういう人でさえもそうなってしまう怖さを感じていました。

そうなんです、全然普通の女性です。【三知子】のモデルとなった女性もそうだったと思います。

―― 【三知子】を演じるうえでリサーチなどの準備はされましたか。

モデルとなった女性については、とことんリサーチしました。知れば知るほど普通の人でした。後は居酒屋でバイトをしましたが、その経験は、もの凄く糧になりました。私は居酒屋で働いたことがなかったので、所作を知りたくてバイトをしたのですが、バイト先に行くと実際に一人暮らしをしながら働いている女性が何人も居たし、OLをしながら夜だけ働く人や外国人の方も居ました。

一緒に働いた皆と話すことで金銭感覚や考え方を知ることも出来ましたし、立ち仕事によるリアルな疲れも体験出来ました。実際に体験しないと得ることが出来ないものを得ることが出来て良かったです。凄く糧になりましたね。