Oct 07, 2022 interview

板谷由夏インタビュー 『夜明けまでバス停で』で伝えたかった“助けて”と言っていい社会

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2020年、幡ヶ谷のバス停で起きた渋谷ホームレス殺人事件をモチーフに、高橋伴明監督が社会への危機感から映画化した『夜明けまでバス停で』。あくまでオリジナルストーリーとして生まれた本作の主演を務めるのは、『光の雨』(公開:2001年)に出演し、高橋伴明監督と組んだ俳優の板谷由夏。ごく普通の女性がコロナ禍によって、突如、仕事も家も失ってしまい、居場所を求めて彷徨う姿を通して「社会的孤立」について描いていきます。

今回は主人公【北林三知子】を演じた板谷由夏さんに本作を通して考える「社会と映画の繋がり」を伺いました。

板谷由夏インタビュー 『夜明けまでバス停で』で伝えたかった“助けて”と言っていい社会
板谷由夏インタビュー 『夜明けまでバス停で』で伝えたかった“助けて”と言っていい社会

―― コロナ禍で【映画の力】について、一層考えるようになりましたが、板谷さんご自身はどのように感じていらっしゃいましたか。

コロナ禍の頃は正直に言うと【社会のことを知る映画】よりも【元気の出る映画】が観たかったです。いつも番組で共演している(斎藤)工とも話していますが【映画が持つ力】は昔も今も変わらず【気づき】だと思っています。この世が続く以上、そこに俳優部として出演することが出来るのであれば続けたいと。コロナ禍の間に考えたことと言えば“呼ばれたのであるならば淡々といくしかない”そんな風に想いました。

―― 高橋伴明監督のお名前だけでご出演を決められたそうですが、理由を教えて下さい。

20年前に『光の雨』(公開:2001年)という伴明さんの作品に出演しました。その時から私の中では仕事を続けていく中で伴明さんは(頭の中で存在としてずっと)流れている人なんです。それに「伴明さんが撮るんだったら断る理由がない」って感じです(笑)。私は伴明さんご自身も好きだし、伴明さんの撮る映画も好きなんです。 断る理由がないだけで、伴明さんに「やるぞ!」と言われたら「やります」の二つ返事です。

板谷由夏インタビュー 『夜明けまでバス停で』で伝えたかった“助けて”と言っていい社会

―― 登場する女性たちが迷いながらも凜としている。板谷さん演じる【北林三知子】だけでなく、大西礼芳さん演じる居酒屋の店長【寺島千晴】も立ち向かっていこうとする。そういう姿をしっかりと見つめている。あれは高橋伴明監督だからこそですか、それとも脚本を担当された梶原阿貴さんの意図ですか。

どうなんでしょう、両方の気がします。私は『愛の新世界』(公開:1994年)で伴明さんが描かれた路線も好きなんです。伴明さんって男男しているし男性だけど、すごく中性的な目を持っている人という印象があります。あの年齢でそういうことが出来る人ってあまり居ないと思います。伴明さんはフラットだし、フェアーだし、伴明さんだからこそ描けたのだと思います。 

―― 確かにそうですね。今回の作品でやる意味があると感じたシーンや思い入れ深い台詞などがありましたら教えて下さい。

どこですかね‥‥、2週間近く【三知子】が頭の隅に居たので、とにかく彼女になりきっていたというか。そんなふうに具体的に聞かれると難しいですね。でもラストシーンは伴明さんのメッセージのような気がしています。ここでは言えませんが(笑)。