Jul 16, 2022 interview

尾野真千子インタビュー 家族全員に孝行が出来た『ミニオンズ フィーバー』

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―― 尾野さんは、河瀨直美監督や青山真治監督、原田眞人監督、是枝裕和監督、瀬々敬久監督、石井裕也監督他、数々の監督と様々なテーマの作品を演じられています。作家性の強い監督からオファーを受けていますよね。

女優という職業についたからには、コメディからシリアスまで全部出来るのがプロ!それが仕事なので、なるべく何でも気持ちがそこに入るように演じようと思っています。

でも実は、“何でお仕事をくれるんだろう”と不安になる時があるんですよ。“本当に大丈夫かな、間違ってないかな、ここに私は居ていいのか”と急に不安になるんです。だけど指名してもらったからには“頑張らなきゃ”と思います。でもやってみて“ちょっと自分にはレベルが高かった”と思うこともありますけど、死ぬ気で、全力で、“やるしかない!”そんな感じです。だから撮影に入る時は、いつも心臓がもつかなと思うくらい緊張しています(笑)。

―― グルーとミニオンの関係のように、この人との出会いが自分の糧になっていると思う出会いはありますか。

どの作品に出演してもね、「この作品に出演したことを恥じてはならない、この作品を下げてはいけない」とは思います。毎回、その作品を色んな方に観て頂くためには自分が頑張らないといけない、この作品を世に出してもらうには、もっと自分の芝居を磨かないといけないと思っています。作品があるから自分が頑張れる。

たぶんこの仕事が無くなったら、もっと不安になると思うんです。自分でいられなくなるというか、自分の気持ちをどこに置けばいいのかわからなくなりそうだから、毎回作品があることに感謝の気持ちが大きいです。1つ1つの作品に対して命懸けで演じています。

命懸けというと簡単に聞こえてしまうかもしれないけど、自分の中では“ここで死んでも後悔がないように”と本気で思っています。“ここで倒れたとしても私は全力で全部頑張ったから大丈夫”そして毎回、“笑って死ねるかな”と考えています。だからこの言葉は簡単なように聞こえるかもしれないけど、本気なんです。

―― 『茜色に焼かれる』(公開:2021年)で第95回キネマ旬報ベスト・テンの主演女優賞を受賞された尾野さんが「役者という仕事を見ていて、いつかああいう仕事をしてみたいと思ってもらえるような、仕事をしていきたい」というスピーチを聞いた時、見ているこちらも涙がこぼれました。いつからそう思うようになったのですか。

『茜色に焼かれる』はコロナ禍だったんです。コロナ禍での撮影を経験するとそういう気持ちになります。やっぱり1つ1つ命懸けでやらないと全てのことに失礼だと思いました。今まではどこかで“こなせばいい”と思ってしまう気持ちもあったと思うんです。段々と色々な作品に出演して、色々なことを現場で見る度に“私はおごってはいけない。場所を貸してくれた人たち、見えない所で動いて下さった人たちがたくさん居ることを私が言わないといけない”と思うようになりました。

そしたらコロナ禍になって、あの2ヶ月近くの緊急事態宣言の間“私は発信することが出来なくなるのではないか。止まってはいけないのに止まっている。もっと伝えないといけないのに”と凄く思ったんです。この2年~3年の間に、自分だけではなく作品作りに対して発信する気持ちが強くなりました。

―― 今の自分を一言で例えるなら。

なんでしょう?でもね、私、今のこういう気持ちになってから凄く楽しいんですよ。色々なことが見えるようになってきたし、思えるようになったんです。だから今の自分が本当に楽しい。今までの人生の中で一番好きかもしれないです(笑)。自分が一番好き、そういう時期だと思います。だから頑張れると思います。

―― 目標はありますか。

これはすぐ言えます、女優になること、私の夢は女優になることです。よくよく考えると女優になっているとも思いますが、まだ女優になれていない気がします。もっともっとがあるからこそ自分の中で今が楽しいと思える。多分やりたくなかったら「夢は女優」とは言っていないと思うんです。

まだ私は女優として目指すところがたくさんある、まだ女優という夢を捨てたくないんです。この夢を捨てたら仕事を辞めていると思います。まだ続けるつもりなので、夢は、女優です!

インタビューしたこの日、大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンで開催中のダンスプログラム「ミニオン・カンフーダンス道場」(9月4日までグラマシーパークにて開催)と連動した『ミニオンズ フィーバー』公開記念イベントに参加した尾野真千子さん。ステージはミニオンとの共演に喜び、大はしゃぎ!声優を努める笑福亭鶴瓶さんや市村正親さん、渡辺直美さんとカンフーポーズを決めるなど楽しいイベントにご機嫌でした。

画像提供:ユニバーサル・スタジオ・ジャパン
Minions and all related elements and indicia TM & © 2022 Universal Studios. All rights reserved.
画像提供:ユニバーサル・スタジオ・ジャパン
Minions and all related elements and indicia TM & © 2022 Universal Studios. All rights reserved.

日頃から気さくでどんな舞台挨拶も和ませてしまう愛すべき人であり、愛される女優、尾野真千子さんの夢である「女優」という仕事は、“彼女の天職である!”と断言するワタクシでございます。

文 / 伊藤さとり
写真 / 奥野和彦

作品情報
映画『ミニオンズ フィーバー』

世界的大ヒット作『ジョーズ』を劇場へ観に来たミニオンズと少年グルー。しかし、あいにく満席‥‥ミニオンズと少年グルーは、オナラ爆弾を爆破させて、劇場を占領する。日常的に悪巧みを繰り返し過ごしていた彼らの前に、グルーが憧れる世界で最も悪名高き悪党チーム“ヴィシャス・シックス”が現れ、グルーが誘拐されてしまう。少年グルーを救出するために、ミニオンたちは鍼灸師でカンフーの達人マスター・チャウのもとで強くなるための過酷な修行を開始するのだが‥‥。本作で加わる新ミニオン、オットーの三輪車の大爆走やパイロットになって飛行機を操縦したり、空手の板割にチャレンジしたりと大忙しのミニオンズが前作からさらにパワーアップし、スクリーンを縦横無尽に大暴れ!ラストには燃え盛る街中で怪物達との壮絶!?なバトルシーンも!果たして、ミニオンズは大切な”ご主人“少年グルーを無事救出できるのか!?

監督:カイル・バルダ

声の出演:スティーヴ・カレル ほか

吹替声優:笑福亭鶴瓶、市村正親、尾野真千子、渡辺直美 ほか

配給:東宝東和

©2021 Universal Pictures and Illumination Entertainment. All Rights Reserved.

公開中

公式サイト minions.jp

伊藤 さとり

映画パーソナリティ
年間500本以上は映画を見る映画コメンテーター。ハリウッドスターから日本の演技派俳優まで、記者会見や舞台挨拶MCも担当。 全国のTSUTAYA店内で流れるwave−C3「シネマmag」DJであり、自身が企画の映画番組、俳優や監督を招いての対談番組を多数持つ。また映画界、スターに詳しいこと、映画を心理的に定評があり、NTV「ZIP!」映画紹介枠、CX「めざまし土曜日」映画紹介枠 に解説で呼ばれることも多々。TOKYO-FM、JFN、TBSラジオの映画コーナー、映画番組特番DJ。雑誌「ブルータス」「Pen」「anan」「AERA」にて映画寄稿日刊スポーツ映画大賞審査員、日本映画プロフェッショナル大賞審査員。心理カウンセリングも学んだことから「ぴあ」などで恋愛心理分析や映画心理テストも作成。著書「2分で距離を知事メル魔法の話術」(ワニブックス)。
2022年12月16日には最新刊「映画のセリフでこころをチャージ 愛の告白100選」(KADOKAWA)が発売 。 https://www.kadokawa.co.jp/product/302210001185/
伊藤さとり公式HP: https://itosatori.net