May 19, 2022 interview

吉岡里帆インタビュー 個性をまるごと愛する大切さに気付いた『ハケンアニメ!』

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ジャパニメーションという言葉が生まれるほど世界で愛される日本のアニメ。日本では毎クール50本以上の新作が生み出され、No.1の称号[ハケン=覇権]を取るべく熱い戦いが繰り広げられます。そんなアニメーション業界を舞台にした直木賞&本屋大賞作家・辻村深月の大人気小説を『水曜日が消えた』で長編映画デビューを飾った吉野耕平監督が映画化した『ハケンアニメ!』。夢のアニメ監督デビューを果たした主人公・斎藤瞳と、天才アニメ監督・王子千晴が同時間帯の裏と表での放送となり、[ハケン]を争う戦いに挑みます。

主演に吉岡里帆、ライバルの王子には中村倫也が扮し、それぞれの作品の担当プロデューサー役に柄本佑、尾野真千子という演技派が顔を揃えた情熱と感動のお仕事ムービーが完成。今回は、主演の吉岡里帆さんに撮影秘話と仕事への情熱を伺います。

吉岡里帆インタビュー 個性をまるごと愛する大切さに気付いた『ハケンアニメ!』
吉岡里帆インタビュー 個性をまるごと愛する大切さに気付いた『ハケンアニメ!』

―― 本作に入る前にチェックした作品はありますか。

私は子どもの頃から「ピンポン」が凄く大好きなんです。松本大洋さんのマンガ原作はもちろんですが、曽利文彦監督、宮藤官九郎さんが脚本を書かれた『ピンポン』(公開:2002年)も大好きで、窪塚洋介さんを始めとした出演されているキャストの皆さんも凄く素敵でした。実は『ハケンアニメ!』を撮っている時に『ピンポン』を意識しているシーンがあるんです。初めて自分が監督したアニメ『サウンドバック 奏の石』の第一話を視聴者の方に観て頂く上映会の前に、【瞳】が緊張しすぎて心のやり場がわからなくなりトイレに籠もるんです。あのシーンでは、私は完全に中村獅童さんが演じる【ドラゴン(風間竜一)】のお芝居を思い出していました(笑)。天井を見上げてしまうところは『ピンポン』へのオマージュです。

撮影に入る前にチェックした作品は、アニメーター達の裏側を描いたアニメ「SHIROBAKO」です。アニメ好きの友達に「今度アニメーション作品の裏側を描いた映画に出演するんだけど、何のアニメを見たらいいと思う?」と聞いたら、「とにかく先ずは『SHIROBAKO』見たらいいと思う」とアドバイスしてくれたので。

―― 【瞳】という人物の内面が分かるような仕草というか、歩き方や喋り方まで、凄くこだわっているように感じました。

そうですね、ビジュアルも含めて“ちゃんと生活している感が出て欲しい”と思いながら演じていました。

吉岡里帆インタビュー 個性をまるごと愛する大切さに気付いた『ハケンアニメ!』

―― 映画を撮り終えてどんな人にこの作品を届けたいと思いましたか?

アニメを好きな人に観て欲しいというのはもちろんあります。だけど、仕事を頑張ったことがある人、仕事を頑張って挫折しそうになった方、大変な思いをして悩んでいる方に、なにより観て欲しい作品です。やはり【お仕事ムービー】として大人の人に贈るような部分もこの映画にはあると思います。

―― 俳優としてこの作品を観た時、発見などありましたか。

『ハケンアニメ!』は群像劇です。お互いを認め合うこと、個性がいっぱいでアンバランスになるのではなく、その個性を全部ひっくるめて全員を愛するみたいな感じです。それはどんな仕事をするうえでも、とても大事なことだということに気付かされました。

吉岡里帆インタビュー 個性をまるごと愛する大切さに気付いた『ハケンアニメ!』

―― 胸が熱くなるような素敵な台詞が沢山あります。お気に入りの台詞は何ですか?

台詞、全部いいですよね。自分が言った台詞だと「何かを失っても何かを成し遂げないといけない時がある」「都合のいいエンディングはいらない」です。“そうだな”って思います(笑)。

―― 「刺され、誰かの胸に」という台詞も好きです。

いいですよね、特にこういう仕事(役者)をしていると共感性があります。“全員には届かないかもしれないけど、誰かの胸に真っ直ぐ刺さればいいな”と常日頃思っています。

吉岡里帆インタビュー 個性をまるごと愛する大切さに気付いた『ハケンアニメ!』

―― そうなんですね、今回の映画で好きなキャラクターは誰ですか。

徳井優さんが演じられている【脚本家、前山田】さんです。本当にいそうだなと思わせるリアルさがあるんです(笑)。長い間、業界で仕事をしてきて、若い人に自分の考えとは違う注文を付けられて嫌々ながらも渋々仕事をする感じが人間味があって好きです。

あと、理想の上司をあげるなら尾野真千子さんが演じられた【プロデューサー、有科香屋子】さんです。以前ドラマでご一緒した女性プロデューサーの方に凄く似ているんです。とにかく出演者を大事にして下さるんですよね。ご自身の利益ではなく、もっともっと愛情深いところで接して下さっているのを感じられる人です。

―― 私は小野花梨さんが演じられた【アニメーター、並澤和奈】さんが好きでした。リア充コンプレックス的な会話もヲタク女子として共鳴してしまいました。

素敵ですよね。宗森(工藤阿須加さん)とのとのギャップの会話は可愛いくて、キュンとします。小野花梨さん演じる和奈の「リアル以外の場所も豊かにするのが私たちの役目」という台詞は名言ですね。