Feb 23, 2022 interview

瀬戸康史インタビュー 相手を想う気持ちを自分の一部として演じる『愛なのに』

A A
SHARE

―― 古本屋さんでの佇まいが凄く好きでした。何か準備とかされたのですか。

撮影場所が生きている古本屋さんだったのでその力も借りて“この空間に馴染めればいいな”と思いながら演じていました。それに、日焼けした本をやすりで削ってキレイにする方法も城定監督が教えてくれました。そんな今まで知らなかったちょっとした仕草は取り入れさせて頂きました。

―― カメラの回っていない時は古本を見て回ったりしたのですか。

古本は商品だったので、あんまり触っちゃいけないんじゃないかと思って‥‥読んだりはしなかったです(笑)。実は古本とか凄く想いがこもっていそうで触りづらいというか。今まで持っていた方の色んな思い出を紙が吸っていそうな気がするんです(笑)。本は読むんですが、一回読んで満足するタイプなので、いつか何回も読んだりするような本に出会いたいですね。

―― 覚えなければいけない台本もあるし、リセットしていかないと大変ですよね。

確かにそれはあるかもしれません。新しい役での台詞をどんどん頭に入れていかないといけないからかもしれませんが、その期間に読んだ本の内容など忘れがちなんです。そう考えると、思い出が消えていくのは凄く怖いし、寂しいです。

―― 仕事を続けていく中で壁にぶつかったり、悩んだりしたことはありますか。

僕は毎回、ハードルみたいなものを自分で付けがちです。今回も肉体的な表現を自分がどこまで出来るのか、それが謎だったんです。結果的に自分の中では“やれた”と思えたので成長になりました。そんなふうに低くてもいいからちょっとした壁を、毎回、作品に入る度に絶対に作るようにしています。そのせいで自分が演じている姿を想像出来ないとか、もしかしたら失敗するかもという考えが進みがちなところもあります。

―― 瀬戸さんは舞台もドラマも映画も含め、様々な役を演じていますが、未開拓な役はありますか?

確かに本当に沢山演じさせて頂いています。でも、ちゃんとしたというか一般的なお父さんの役って実はまだ演じていないんです。『貞子3D2』(公開:2013年)や『劇場版ルパンの娘』でお父さん役を演じていますが、ご存知の通り特殊過ぎて(笑)。実年齢でも子どもが居てもおかしくない年齢なので、普通のお父さん役を演じてみたい気持ちはあります。