Jan 13, 2022 interview

徳永えりインタビュー 自分の足で見つめ直していく作業が愛しくなった『ポプラン』

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2018年に『カメラを止めるな!』で「カメ止め」旋風を巻き起こした上田慎一郎監督が、10年間温め続けた物語を映画化した『ポプラン』。映画の大ヒットにより、注目を浴びて自分を見失いそうになった上田監督が自身と向き合うことで生まれた本作は、人間の滑稽さを笑いと愛で包み込んだヒューマンコメディになっています。主演は上田監督からのラブコールにより『メランコリック』で主演兼プロデューサーを努めた記憶も新しい皆川暢二。映画は、ある日突然、大切な“アレ”を失った田上が、奇しくも「人生のやり残し」と向き合うことになり、様々な人と再会をするというロードムービー。今回は田上が再会を果たすひとりである元妻を演じた徳永えりさんにお話を伺います。

徳永えりインタビュー 自分の足で見つめ直していく作業が愛しくなった『ポプラン』
徳永えりインタビュー 自分の足で見つめ直していく作業が愛しくなった『ポプラン』

―― 上田慎一郎監督の現場を体験されていかがでしたか。

徳永 「他の監督とは違う」といいますか「上田監督だな」と思ったのは、上田監督ご本人が120%楽しそうなところです(笑)楽しそう、嬉しそう、ずっとニコニコしていらして喜びに満ちた感じが途切れないんです。それだけ映画を愛していらっしゃるということが凄く伝わりました。

―― 今回の役は、男性の“アレ”を失った男性のロードムービーでもある分、女性目線で見るとこの映画の肝になる役ですね。私は立場的にも女性で子どもも居るので徳永さんが演じられた元妻の立場に共鳴しました。元夫が訪ねて来るあのシーンを演じてみてどうでしたか?

徳永 元夫が訪ねてくるって‥‥嫌ですよね。今は自分に家族が居るのに元夫が突然現れる、それって相当嫌なことだと思うんです。でも“自分がこの役で出来る事ってなんだろう”と考えた時に“嫌だな”と思う状況でも昔愛した人ではあるし、全く嫌いということではないと思ったんです。嫌いだったら早々に突っぱねて家に入れないと思います。かと言って今の幸せな家族を見せつけるというのも違うなと思って、凄くフラットな感情でいようと思いました。元夫・田上に対しても今の夫に対してもフラットでいようと思ったんです。もしかしたら子どもに対してもそうかもしれないです。中立というか、色々とそぎ落とした方が観ているお客様に伝わると思って演じていました。

―― 確かに元夫にも寛容な女性でしたが、監督からどんな演出を受けたのですか?バックボーンの話などもありましたか?

徳永 バックボーンは監督から伺いましたし、本読みもしました。でもやっぱり現場に立ってみて、元夫を演じられる皆川(暢二)さんがどんなお芝居をされるのかを見て、その瞬間“つかず離れずがベストだな”と思ったんです。どこに対しても馴れ馴れしいわけではなく、全てを見せるわけでもなく、彼女(自分)の中でちゃんと答えがあれば“いいかな”みたいな気持ちでした。だから表面的にバッと出す感じではない、そんな気がしていました。

ただ自分があまりにもフラットにやり過ぎてしまった印象があったので演じ終わった後に“これで大丈夫だったのかな?”という不安はありました。出来上がりを観るまでちょっと怖かったです。

―― 映画を観ながら今の夫と元夫が、あまりにも真逆なタイプだったので、彼女は元夫を過去の引出しにしまって、リセットした状態だと思いました。そんなイメージで演じられたのかなと。

徳永 そうですね、終わった関係ですから(笑)女性的な脳なのかもしれないですね。だから余計に困ったのだろうけど、彼女が今ちゃんと居るべき場所、幸せがあるからこそあのように対応することが出来たんだと思います。

―― 脚本には、そこら辺は全部描かれていたのですか?

徳永 いえ、脚本にその距離感までは‥‥。昔、結婚していた感じの流れや人物像は描いていらっしゃいましたが、具体的に演出をしてもらったという記憶はあんまりないですね。

―― ということは徳永さんが作り上げたキャラクターなんですね。

徳永 上田監督に「これで大丈夫ですか?」と聞いた記憶はあります。でも聞いても上田監督は「OK」と笑って仰るんです。

徳永えりインタビュー 自分の足で見つめ直していく作業が愛しくなった『ポプラン』