Nov 20, 2020 interview

立ち姿から役の性格を物語る俳優、浅香航大が出演作『滑走路』への思いを語る

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――映画デビュー作の吉田大八監督の『桐島、部活やめるってよ』(公開:2012年)から多くの監督さんとお仕事をされていますが、これまでの俳優人生の中で自分の演技に対する考え方を変えた出会いや作品を教えて下さい。

毎回毎回、吸収するものが全然違うんです。自分の中では、やっぱり映画デビュー作でもある『桐島、部活やめるってよ』は大きな存在です。一発目の現場でリハーサルもあったし、行きっぱなしのロケだったので、スタッフさんとの距離も近くなります。あの期間は本当に色々なことを教わりました。

落合モトキや仲野太賀など、長年やっている彼らの現場の居方とかも目の前で学べました。それは今でも感謝しています。『見えない目撃者』(公開:2019年)もそうですが、監督によって撮り方、見せ方が全然違いますよね。

――浅香さんは役に寄り添う印象があります。心がけていることはありますか。

う~ん、これがないんですよね(笑)“映画は監督のもの”という感覚が『桐島、部活やめるってよ』の時からあるんです。なので、基本的には監督に従う。特に何に信念を持つというのはないんです。多分、“フラット”だと思います。

それと、監督が想像している画やキャラクターを想像するのが好きなんですよね。それが第一かもしれません。“監督がこの本をこう読んで、こういうキャラクター像でこういう画を思い浮かべているんだ”と僕も早めに想像する、より近付けたいという思いがあります。 

とある監督には僕が視覚的にイメージするのが強いからなのか「自分を俯瞰して演じているでしょ」と注意されたことがあります。どうしたらどう映って、どういうキャラクター像でというのを意識し過ぎてしまったことがあるんです。

――忙しい日々の中で、仕事の休みの時はどのように過ごしているのですか。

一般の友達と飯を食べたり、お酒飲んだりします。ひとつの作品が終わるといつもよりちょっと多めにお酒を飲んでしまうぐらいですかね(笑)それは役を切り替える為ではなく、ひとつの達成感みたいな感じなんです。

――今後演じてみたい役、出演したい映画はありますか。

欲を言えば宇宙映画!あとは戦争映画ですね。最近は作られることが少なくなっていると思うのですが、凄く胸を打たれるんです。自分の心とは裏腹なところで世の中が動いていくところや、敵国の人との触れ合い、国と国、自分とお前みたいなそんな関係性も好きだったりします。クリストファー・ノーラン監督の『ダンケルク』(日本初公開:2017年)も良かったです。

――海外の映画も沢山見られていますが、一緒に仕事がしたい監督は居ますか。

出来ることならマーティン・スコセッシ監督と仕事がしたいですね。『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(日本公開:2014年)のメイキングとかを見ると、キャストが皆、楽しそうで、レオナルド・ディカプリオなど俳優たちが皆輝いていたんです。特に衝撃を受けたのはマシュー・マコノヒーとレオナルド・ディカプリオがカフェで食事をしているシーンで、歌を歌い出すんですが、それはアドリブだったようで、そのシーンが物語の最後まで使われているんです。監督と俳優が信頼関係を築けていることを強く感じて“いいな”と思いました。

“信頼関係”のような感覚は、行定勲監督にも通じるものがあるような気がして、行定監督は本当に自由にやらせてくれました。『劇場』の撮影時は、よく行定監督に「あとは面白く演じて」と言われてたんです(笑)

『滑走路』の大庭監督にも僕は凄く信頼を寄せていて、丁寧ですし、凄く演じやすかったですね。それは鷹野のキャラクターだったり、映画の方向性を大切に大事に導いてくれたからで、それが映画にも出ている気がします。画や照明、色々な部のスタッフや俳優たち皆が、同じ方向を向いている純度の高さを感じて“いいな”と思っています。

『桐島、部活やめるってよ』に出演した若手俳優は皆、作品の中で存在感を放つ役者に成長しています。中でも『見えない目撃者』で激しいアクションにも挑戦した浅香航大さんは、海外の作品を多く見ているだけあり、立ち姿から役の性格を物語る俳優であり、『滑走路』では、鷹野が見る見るうちに、心をすり減らしていく様に目を奪われてしまうのです。萩原慎一郎さんの歌集に込められた言葉を、セリフで伝えず視覚的な情景で表現した『滑走路』。ラストカットは、今でも目に焼き付いているのです。

文 ・写真 / 伊藤さとり

作品情報
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滑走路

厚生労働省で働く若手官僚の鷹野は、激務の中で仕事への理想も失い無力な自分に思い悩んでいた。ある日、陳情に来たNPO団体から非正規雇用が原因で自死したとされる人々のリストを持ち込まれ追及を受けた鷹野は、そのリストの中から自分と同じ25歳で自死した青年に関心を抱き、その死の理由を調べ始めるが──。歌人・萩原慎一郎による「歌集 滑走路」。あとがきを入稿後、32歳の若さで命を絶ち、遺作となった唯一の歌集が完全映画化。原作歌集をモチーフにオリジナルストーリーとして紡がれる映画『滑走路』は、監督:大庭功睦×脚本:桑村さや香の俊英コンビのもと、実力派俳優と瑞々しい若手キャストが集結。

監督:大庭功睦
脚本:桑村さや香
原作:萩原慎一郎「歌集滑走路」(角川文化振興財団/KADOKAWA刊)
演:水川あさみ、浅香航大、寄川歌太 ほか
給:KADOKAWA
 ⓒ
2020「滑走路」製作委員会

開中

式サイト:https://kassouro-movie.jp

伊藤 さとり

映画パーソナリティ
年間500本以上は映画を見る映画コメンテーター。ハリウッドスターから日本の演技派俳優まで、記者会見や舞台挨拶MCも担当。 全国のTSUTAYA店内で流れるwave−C3「シネマmag」DJであり、自身が企画の映画番組、俳優や監督を招いての対談番組を多数持つ。また映画界、スターに詳しいこと、映画を心理的に定評があり、NTV「ZIP!」映画紹介枠、CX「めざまし土曜日」映画紹介枠 に解説で呼ばれることも多々。TOKYO-FM、JFN、TBSラジオの映画コーナー、映画番組特番DJ。雑誌「ブルータス」「Pen」「anan」「AERA」にて映画寄稿日刊スポーツ映画大賞審査員、日本映画プロフェッショナル大賞審査員。心理カウンセリングも学んだことから「ぴあ」などで恋愛心理分析や映画心理テストも作成。著書「2分で距離を知事メル魔法の話術」(ワニブックス)。
伊藤さとり公式HP: https://itosatori.net

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