Sep 26, 2020 interview

仲野太賀が語る、自身が抱く演技論と映画『生きちゃった』での役作り

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――仲野さんは、ここ一年だけでも様々な性格の役を演じられていますが、演じるうえで心がけていることはありますか。

役において嘘をどんどん無くしていく。実感をちゃんと持って演じるってことを心がけています。そして人の話を聞きます。結局、人間関係で物語は進んでいくので目の前に居る人に対しては、しっかりと関係していくことを意識しています。相手が喜んでいたらこっちも喜んでいるし、相手が怒っていたらこっちは受ける。引っ張り合う、ひきつけ合う、そんな感じに柔らかく相手に合わせる感じを心がけています。 

演じることはリアクション、アクションに次ぐアクションという言葉もあります。色々な人から演出を受けていく中でリアクションを如何に大事にしていくかというのがあります。

――「今日から俺は!!劇場版」(公開:2020年)ではとても熱いキャラクター今井という役を演じられていますが、現場に入ったらスイッチをオンにするんでしょうか。

自分の中ではグラデーションというか波がありますね。そのグラデーションを柔らかくしてスイッチにならないようにしています。そこでパツンと断絶してしまうと自分がやりたいことと違ってしまうので、何かきっかけがあって、こうなるというふうに流れを意識します。

――行定勲監督や大森立嗣監督から“仲野太賀は演技が上手い”という言葉を聞きます。演技に対するプロセスなどを自分なりに勉強されたのですか。

嬉しいですね。現場で色々な人とお仕事をさせて頂いているので、その度に吸収というか学びがあります。自分自身の中で自分を広げていくのには限界があるので、誰かにその枠を広げてもらうということがとても大切なことだと思っています。演技のやり方とかはわかりませんが、役に関しては色々な作家さんや演出家の方々とやることによって枠を広げてもらうという感じです。

――脚本を読んでいて理解出来ない部分が出てきたらどうするのですか。

場合によりますが、本当に理解出来ない時は、理解出来ないけど理解させるプロセスを作るか、理解出来ない謎を究明するかのどちらかです。謎があってぶち当たることがあったら演出家さんとディスカッションする。そうではなく、理解は出来なくても筋が通っていれば理解出来るまで掘り下げるだけです。

――石井監督とはディスカッションされたのですか。

ディスカッションというか、意見はずっとクランクイン前から徹底的に話していました。本当にシーンの隅々まで意見を交わしましたし、石井監督も手の内を明かしてくれました。そこは同じ思いで結託出来るように意思疎通をはかりました。スタッフ、キャストが同じ思いでクランクインしたと思います。怒涛のように短い期間での撮影だったので現場を止めることが出来なかったんです。ディスカッションの時間を作れなかったので、それまでにやって撮影に臨みましたね。

――好きなシーンはどこですか。

好きな台詞は“他の国の言葉だったら素直に言えるのに”です。それって分かるなって(笑)

――中国語と英語の勉強をしているシーンですね。

そうです。他の国の言葉だと言えるのに自分の国の言葉(日本語)では言えないという台詞を見た時“うわ~っ”何これって思いました(笑)