Sep 21, 2020 interview

伊藤沙莉が語る『蒲田前奏曲』のテーマである“女優と女であること”

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今、日本映画界では“女性”監督に注目が集まり始めています。まさに“やっと”という言葉が似合う出来事なのですが、大手配給会社が製作する少女漫画の映画化も男性監督と男性プロデューサーが名を連ね、他のジャンル同様、男性社会で成り立ってきた日本映画界。俳優業に対しても男性俳優のことを“俳優”と呼び、女性俳優のことを“女優”と呼ぶことが当たり前なことに対し、世界の映画祭では、呼び方自体が性差別であるという声も上がって来ている近年。そんな中、女性であり俳優の松林うららさんが立ち上がり、女優の置かれている立場や、女性の生きづらさを女性目線と男性目線で描こうと企画した『蒲田前奏曲』が完成しました。しかも、中川龍太郎監督の「蒲田哀歌」(第1番)、穐山茉由監督の「呑川ラプソディ」(第2番)、安川有果監督の「行き止まりの人々」(第3番)、渡辺紘文監督の「シーカランスどこへ行く」(第4番)という、まさに才能溢れる男女4人の監督による連作。『蒲田前奏曲』は9月25日より全国順次公開。今回は、この映画の第2番「呑川ラプソディ」ご出演の伊藤沙莉さんをお迎えして、作品のテーマである“女優と女であること”について伺いました。

再生ボタンを押すと伊藤沙莉さんのトークがお楽しみいただけます


―― 穐山茉由監督とご一緒したのは今回が初めてとお聞きしました。脚本を読んだ時の感想を教えて下さい。

面白かったです。この作品に関わりたいと思ったのは、実際に本を読ませて頂いて、その本が面白かったのが大きかったんです。今まであまり演じたことのないタイプの役だったので、演じてみたいと思いました。

―― まるで当て書きのような印象を受けました。

どうなんでしょうね?台本は何回か変わって、直して、直して、丁度良いところで落ち着いた感じです。もしかしたら寄せていってもらえたのかもしれませんね。帆奈のちょっとした間だったりが、そういうことなのかなと思ったりします。温泉で喧嘩した時など、ふざけた顔をしている時があるのですが、ただシャカリキにガムシャラに強いだけではない帆奈の可愛らしさだと思うので、そこは何かを重ねてくれたのではないかと思います。気が強く見られるタイプでもないので・・・気が強く思われているのかな?声のドスですかね(笑)

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―― 『21世紀の女の子』(公開:2019)でも金子由里奈監督や『ブルーアワーにぶっ飛ばす』(公開:2019)で箱田優子監督とお仕事をされていますが、『生理ちゃん』(公開:2019)も含め、女性の生き方を意識した作品に出演されている印象があります。

女性、男性と分けて意識したことはありませんが、いい意味で女性の方がエグイところまで晒すなぁって思います。作品にした時に“ここを突かれるのは痛い。ここを思い出すのは苦しい”というような気持ちを女性監督の方が丁寧に、かつ鮮明に作品にぶつけているような印象があります。そういう女性監督ならではの作品作りを面白いと感じていますね。内容的にはエグイところを突いているんですよ。それなのに綺麗に映すから“どうしてなんだろう”って、そのアンバランス加減が女性だなって。理想と現実というわけではないけれど、そういうところを垣間見るたびに面白いって思います。

―― 冒頭、ゴージャスなファッションで女の子達が集合し、屋上でパーティをするシーンから銭湯という展開に驚き、女らしいなと思いました(笑)

よく行きましたよね。せっかくドレス着ているのに(笑)でも地元に帰って来た時ってそうなりますよね。『呑川ラプソディ』は、特にあるある、居る居るが、たくさん詰まった作品です。

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―― 映画には皆でお互いの近況報告をする女子会あるあるが出て来ますが、それを観ていて、女同士には“この人にはここまで”というような全部をさらけ出さないような暗黙のものがあるよなって、ふと気付きました。

 “この子にはここまで、この子はここまで”ってあるんですよね。女子会とかやると如実にわかるんですよ。自分が最終まで聞いている立場に居ると、滅茶苦茶面倒くさいんです。話は聞いているけれど、多分この子には言ってないから言えないとか、そういう目での探り合いとか。だからといって仲が悪い訳でもない女の子特有のものだと凄く感じました。本当によく描かれています。

演じていながら思いましたし、さらけ出している訳でもない、形だけなんだけれど、うわべの関係でもない、一言では表せない気まずさとかを、ちょっとした仕草で、穐山監督が丁寧な演出で仕上げて下さっています。例えば長いプリッツを食べるシーンがあるんですが、「折角積み重ねたキャリアを棒に振るの?」という台詞の時にだけ、“プリッツを食べる時、腕を振って食べて欲しい”と言ってきたり。そういう細かい演出をされるんですが、そんなところが私は好きでした。その仕草をすることで台詞が言いやすくなるんです、女の子をよく見ているなって思いました。

―― この映画『蒲田前奏曲』は短編の全4作からなる連作スタイルの長編ですが、中川龍太郎監督の「蒲田哀歌」で主人公、蒲田マチ子さんが自己紹介の時に言った“女優です、俳優です”と言い直すシーンが印象的でした。確かに女優とは言いますが、男優ってあまり言いませんよね。そのことについてどう思いますか?

何をもって女優なのかがよくわからないんです。抵抗があるほど強い意志ではないけれど、女優か俳優かと聞かれたら“俳優にして下さい”って私自身もよく言います。“女優って枠なのか?”とも思うし、人に対して、凄くいい意味で“女優だな”って思う時もあれば、テンション低めに“女優だね”って思う時もあります。でも自分が女優というものにカテゴライズされている感覚はあまりありません。それは女優だけでなく女親方とかもそうで私の母は職人だったので“女ってつけないといけないの?”って凄く思います。

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