Jul 17, 2020 interview

配信と劇場で同時公開 行定勲監督が語る観客への新しい映画の届け方

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―― そこに関しては、各映画賞の審査員で話し合い、配信について作り出している最中なんですよね。ただ、映画館で上映されれば、審査対象に値すると言われています。

僕が観客を優先するって決めたことだから、もし映画賞に引っかからなくても仕方がないと思っています。でも俳優たちは僕を信じてやってくれたところもあって、彼らが生み出した素晴らしい演技があるわけだから、もし本当に評価して下さる人が居るのであれば、ちゃんと評価して欲しいという思いは、正直あります。

だけど、こればかりは他者が決めることなので、それよりは全世界の人達にこの映画を観てもらえるということが代えがたいものだと思っています。

―― ポン・ジュノ監督の『劇場』を観たというコメントを読んで、ちゃんとポン・ジュノ監督にも届けるという行定監督の自信と愛を感じました。コメントでは山﨑賢人さんについても触れていましたね。

二人の俳優(山﨑賢人さん、松岡茉優さん)を滅茶苦茶、褒めていました。この二人で引っ張っていくところが凄いって。ほとんど二人しか出てないって、それが意外とビックリしたって感じですかね。

ああやって届く事もあるし、長い人生なんだから色々なこともあるでしょう。僕も映画公開にあたっては、今までも色々と経験をしてきたので、思わぬところで躓いたりもしましたが、まあ(映画館と配信という選択)これで良かったのかなと思っています。

―― 2019年アカデミー賞ではポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー賞最多4部門受賞という快挙を成し遂げ、改革を起こしました。今回の劇場公開・同日配信のニュースを聞いて、私は行定監督が日本で改革を起こしたと思っています。

そんな大層なことではないと思いますが、チャンスではあると思います、民意というかギャラリズムですよね。要するにジャーナリズムが今の意識をどう思っているのか?ただ追随するだけ、発信されたものをそのまま記事にする、一緒になって寄り添っているだけならジャーナリズムの意味ありますか?と僕は思うんです。

僕が最近インタビューを受けて来た方々は、皆さん結構気骨のある方ばかりで“ここは書かなきゃ、記事にしなきゃ”って思ってくれている。本来、ジャーナリズムは世論を変える、動かすことが出来る。そしてそのことを気づかせることが出来るんです。

今、映連(日本映画製作者連盟)が決めているルールはは作り手(製作者)としては何の不満もありません。コロナがなかったら280スクリーンで『劇場』が公開されていて、今頃セカンドに入っている頃かも。

『窮鼠はチーズの夢を見る』は2020年9月11日に普通に公開されるわけですから、そこに対して新しいことをやりたいわけではない。ただ僕はこの状況の中で、そこが議論されることに意義があるかもねって思っています。あと作品は別ですよね。

アカデミーが卓越しているのは“作品は別”というところ。それを問うわけです。ハリウッドにとってNetflixやAmazonは莫大な資金源にもなっている。

―― そうですね。Netflix配信の映画『ROMA/ローマ』もアカデミー賞で評価されましたから。

そうなっていけば、日本も上手くいくと思うんです。これまで日本のシステムって変わらなかったんです。色々な新しいメディアが出て来て、状況も変わってきましたけれど、いまだに映画会社が小屋(劇場)を持っていて、配給も持っていて、縦割りの3社(4社目のKADOKAWAは劇場を持っていない)+αで外資が入って来ている。

これだけ長年3社が続いてきた日本映画界の律儀さ、僕は日本人に生まれて映画人になって何の疑問も持たずにいたわけだから、そのルールの中では『劇場』は規定から外れることなので、僕が覚悟しないといけなかったことはそこです。

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