女優を目指したことにも影響?何度も読んだ伝説の漫画
──ありがとうございました。最後に、土屋さんがこれまで影響を受けた作品や好きな作品を1作、挙げていただければと思います。
「ガラスの仮面」です。何回読んだかわからないくらい、展示会にも行くくらい、本当に好きです。家にあったので小学生の頃に読んだんですが、読み始めたらどんどん続きを読みたくなりました。中でも17巻が一番好きなんです。主人公のマヤが親のことでいろいろあって、一度諦めかけた演技に対してまた向き合って、そこから這い上がっていくんです。その感じがたまらなく好きです。
──「ガラスの仮面」は、土屋さんが女優を目指したことに影響している?
もしかしたら、気付いていないうちに影響があったのかもしれないですね。女優になってから、やっとマヤのことがわかるようになりました。マヤが朝までぶつぶつセリフを言っているのも演技派だからかと思っていたんですけど、演技派だからではなくて、いろいろ考えているうちに、こんな時間になってしまったんだなと。美内すずえ先生、すごい! と改めて思いました。
──まだ続いていますもんね。
そうなんです。続きを待っています!
──好きなシーンやセリフはありますか?
いっぱいあるんですけど、マヤが演技で泥団子を食べながら「うめぇ」っていうシーンが好きです。月影先生の力だと思うんですけど、マヤの演技がすごく好きで。何があってもその役として生きるんですよね。狼少女役をやった時に、(事務所社長の)速水さんが来てもずっと狼少女のままだった、ということもありましたよね(笑)。
──なるほど。『累-かさね-』(18年)での土屋さんの演技もすごくて、土屋さんもマヤのように、と言ったら違うかもしれませんが、憑依型なのかな? と思ったのですが……。
ありがとうございます! すごく嬉しいです。でも意外とああいった役の方が、スイッチがわかりやすいので役に入りやすいんです。少女漫画のヒロインとか、普通の役が一番難しくて。ただでさえ、青春真っ只中の高校生はいろんな悩みを抱えているじゃないですか。それを演技で表現するのは本当に大変だなと思います。でも私は憑依型というより、考えて考えて演じながら、奇跡起きろ! この役に近づけ! と思いながら演じている感じです。
──オンとオフは結構分けられるタイプ?
昔は、普通の高校生とかちょっとほんわかしたような役じゃなくて、それこそ人を殺す役とか幽霊とか、暗い役が続いていた時もあって、その頃はオンとオフがすごくしっかりしてるなと思っていたんですけど、最近は、オンとオフって何だろうと思っているこの頃です(笑)。演じることやオンとオフの切り替えの難しさを感じています。
文/熊谷真由子
撮影/名児耶 洋
土屋太鳳(つちや・たお)
1995年生まれ、東京都出身。2008年の『トウキョウソナタ』で映画デビュー。以降、映画とドラマを中心に幅広く活躍中。『orange-オレンジ-』(15年)で第39回日本アカデミー賞新人俳優賞、『8年越しの花嫁 奇跡の実話』(18年)で第41回日本アカデミー賞優秀主演女優賞に輝いた。近年の映画の出演作に『となりの怪物くん』『累 -かさね-』『春待つ僕ら』(18年)、『七つの会議』(19年)など。現在、「ぐるぐるナインティナイン」(NTV系)の「グルメチキンレース ゴチになります20」にレギュラー出演中。3月28日(木)19時57分~放送の「砂の器」(CX)に出演する。
『バンブルビー』
1987年、海辺の田舎町。父親を亡くした哀しみから立ち直れない思春期の少女チャーリーは、18才の誕生日に、廃品置き場で廃車寸前の黄色い車を見つける。自宅に乗って帰ったところ、車が突如、“トランスフォーム”(変形)してしまう。驚くチャーリーを前に、逃げ惑う黄色の生命体。チャーリーは、記憶と声を失い“何か”に怯える黄色い生命体に、“バンブルビー”(黄色い蜂)と名付け、匿うことを決意。ボロボロに傷ついたバンブルビーと、心に傷を抱えたチャーリーの間には思いがけない友情が芽生えるが、予想もしない運命が待ち受けていた――。
原案:クリスティーナ・ホドソン
監督:トラヴィス・ナイト
出演:ヘイリー・スタインフェルド、ジョン・シナ、ジョージ・レンデボーグJr.、ジョン・オーティス、ジェイソン・ドラッカー、パメラ・アドロン、ステファン・シュナイダー
日本語吹替版:土屋太鳳、志尊淳、木村良平、玄田哲章、悠木碧、濱野大輝
配給:東和ピクチャーズ
2019年3月21日(木・祝)先行上映、3月22日(金)公開
©2018 Paramount Pictures. All Rights Reserved. HASBRO, TRANSFORMERS, and all related characters are trademarks of Hasbro. ©2018 Hasbro. All Rights Reserved.
公式サイト:bumblebeemovie.jp/
「ガラスの仮面」美内すずえ/白泉社
1976年から連載中の伝説の少女コミック。演劇にすべてを賭ける少女・北島マヤを主人公に、師匠・月影千草のもと才能を開花させて成長する様や、ライバル・姫川亜弓と「紅天女」の主役を巡っての熾烈な争いなどが描かれる。2018年に掲載誌「別冊花とゆめ」が休刊したが、美内すずえ自身が「必ず最終巻まで描き続けます」とコメントしている。