『サイレーン』、『僕のヤバイ妻』、『嘘の戦争』、『CRISIS』、……とカンテレ制作の火9ドラマに面白いものが多いと評判だ。今夏の『僕たちがやりました』も、高校生が過失ではあるが人を殺してしまうことにはじまって、暴力や性表現などがふんだんに描かれた漫画を原作にした問題作。ふとしたことから校舎を爆発させ死者を出してしまった主人公たちが、どう人生に落とし前をつけるかの物語は、誰もが少なからず抱えている、生きることは難しいという命題を突きつけてくる。それはちょっと痛いが、リアルでもあって、だからこそ、不器用な登場人物たちの誰もかれもが愛おしい。そんな思いで見ているうちに、9月19日でいよいよ最終回。最後はどうなるのか。そして、このドラマを作った意味は。カンテレの米田孝さん、ホリプロの平部隆明さん、ふたりのプロデューサーに聞きました。
青春群像劇とサスペンス カンテレのお家芸をかけ合わせてみた
──まず、米田さんと平部さんは、プロデューサーのお仕事をどういうふうに分担しているのですか?
平部 厳密に決めているわけではないんです。基本はカンテレ制作なので、米田さんがチーフで、僕らホリプロがアシストさせて頂いている感じでしょうか(笑)。
米田 とりあえず総責任者はカンテレの僕で、何か問題があった時、責任を取らされる役割です(笑)。というのは冗談として。僕は一昨年まで大阪本社で制作や営業をやっていまして、東京に来て、AP としてはじめて携わったドラマが『サイレーン 刑事×彼女×完全悪女』でした。その時、ご一緒したのが平部さん率いるホリプロの制作チームだったんです。とてもいい経験をさせてもらったので、今回、僕がはじめてのプロデュース作を手がけるに当って、その時のチームでやりたいとお願いしました。
──『サイレーン』もエグい表現があって面白かったですね。そのチームが再結集と言われたら、今回の『僕たちがやりました』の攻めている感も納得です。近年、ドラマの表現に制約が増えている中で、あえて過激な漫画をドラマ化したわけを教えてください。
米田 確かに、テレビが難しい状況であることは肌で感じていますが、だからこそ、まだまだおもしろいことをやっていると若い方に思って欲しいと思いました。そこで、ストレートにキラキラした青春ものをやるのもいいですが、カンテレは、このところ『サイレーン』や『嘘の戦争』、『CRISIS』などサスペンスが好評頂いているので、そういったハラハラ、ドキドキするものと青春ものをかけ合わせたら面白いと作品を探していたところ、『僕たちがやりました』の原作に出会いました。カンテレは、『GTO』、『天体観測』、『牛に願いを ~Love & Farm~』、『がんばっていきまっしょい』など、過去に青春ドラマも多く手がけていまして。僕の中では青春群像劇とサスペンスという、カンテレのお家芸をかけ合わせてみたんです。ただ、この原作は、暴力やエロなど刺激的なことも多いですが、コンプライアンスのギリギリを攻めたいとか、過激なことをやりたいというモチベーションではありません。原作を突き詰めていくと、人間の本質的な部分を、きゅっと素手で触るような刺激があって、それが魅力だと思って作っています。