Sep 19, 2017 interview

いよいよ最終回!『僕たちがやりました』は、人間を深く描くドラマへの挑戦だった。【プロデューサー陣に聞く】

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最終回と、その先のテレビドラマの展望は

 

──最終回はどうなりますか。

平部 ドラマオリジナルの結末になります。原作は、かなり観念的なので、より具体的に。ただ、本質は原作と変わらないと思うので、原作ファンの方にも楽しんでいただけると思います。

米田 かなり時間をかけて、台本を練りました。「生きる」ってことに対して強い意思を持つことにフォーカスされたものになりました。事の大小はありますが、誰しも、やってしまったなあと思うことってありますよね。過ちを犯した後、どうするのかってことを考えさせられるドラマになったと思います。

 

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──今回のトライを経て、今後はどういうものを作りたいですか?

平部 僕は10代が主役の作品は意外にも初めてだったのですが、若者を描くドラマっていいなと感じました。若い感性に触れると、こちらも若返りますしね(笑)。特に、今の若い俳優たちは、みんな前向きだし、芝居も巧い。礼儀正しいから、こちらも襟を正されますよ。

米田 そういう意味では、このドラマでやりたかったことのひとつに、「今の若いやつは……」という、よくある大人目線に対する疑問ですね。最初、トビオ(窪田)が「そこそこでいい」と思って生きていたのは、いわゆる、大人から見た今の若者像です。でも、いろんなことが起こって、トビオなりに必死こいていく。そこから、それまで見えてなかった若者の意外な面が描ければと思いました。この次にどんなドラマを作りたいか……と聞かれると、今回もそうですが、欲望に勝てないとか、目の前のいやなことから逃げてしまうとかいう人間のどうしようもなさを描きたいんです。

 

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──米田さんは、倉本聰さんの『北の国から』がお好きだそうですから、なんとなくわかる気がします。

米田 そうなんです。人間くさいドラマが好きなんですよ。

平部 僕は、山田太一さんの『ふぞろいの林檎たち』派です(笑)。『僕やり』も『北の国から』っぽくもあるけれど『ふぞろい』っぽくもありませんか? みんながジタバタしながら生きているところが。

米田 一見、ちゃんとして見える人でも、一皮剥いたら違う顔がある。もし、僕らのドラマが攻めていると思っていただけるとしたら、そういうところを描いているところかなと思いますし、これからもそういうリアルは追求していきたいです。

 

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取材・文 / 木俣冬
撮影 / 江藤海彦

 

プロフィール

 

米田孝 Takashi Yoneda

1981年1月12日生まれ。カンテレ、大阪本社にて事業、制作、営業を経て、制作へ。『僕たちがやりました』が最初のプロデュース作になる。

 

平部隆明 Takaaki Hirabe

1967年8月19日生まれ。ホリプロで、映画やドラマを制作する。主な作品に、『ハングリー!』、『スターマン・この星の恋』、『サイレーン 刑事×彼女×最強悪女』、『ふたがしら』など。
9月16日公開『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』(大根仁監督)のプロデュースも手がけている。

 

ドラマ紹介

 

『僕たちがやりました』

火曜よる9時〜  カンテレ・フジテレビ系にて放送
原作 『僕たちがやりました』(原作:金城宗幸、漫画:荒木光)
脚本 徳永友一
演出 新城毅彦、瑠東東一郎、中西正茂
出演 窪田正孝、永野芽郁、新田真剣佑、間宮祥太朗、葉山奨之、今野浩喜、川栄李奈、板尾創路、水川あさみ、三浦翔平、古田新太 ほか

9月19日(火)よる9時 最終回

 

文・木俣冬

 

文筆家。主な著書に「ケイゾク、SPEC、カイドク」(ヴィレッジブックス)、「SPEC全記録集」(KADOKAWA)、「挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ」(キネマ旬報社) 、共著「おら、あまちゃんが大好きだ! 1、2」(扶桑社)、「蜷川幸雄の稽古場から」、構成した書籍に「庵野秀明のフタリシバイ」、ノベライズ「マルモのおきて」「リッチマン、プアウーマン」「デート〜恋とはどんなものかしら〜」「恋仲」「IQ246~華麗なる事件簿」など。
エキレビ!で毎日朝ドラレビュー連載。 ほか、ヤフーニュース個人https://news.yahoo.co.jp/byline/kimatafuyu/ でも執筆。
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