Dec 23, 2022 interview

中川大志インタビュー ぶっ飛んでいるキャラクターを演じる“意外性”にチャレンジした『ブラックナイトパレード』

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―― ファンタジー要素が強いけれどもコメディになっている。個人的には『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』(公開:1993年)を思い出しました。撮影はいかがでしたか。

確かに海外ではクリスマスを舞台にした映画は沢山ありますが、日本映画でクリスマス映画ってあまりないですよね。だから演じている僕たちも新鮮でした。ファンタジックな世界観の原作漫画を読み込んでいたので、現場に入ると、再現されたセットや衣装とかワクワクする感じでした。

―― クリスマス映画は日本では少なくて、何となくですが“クリスマス映画、恋愛映画かな?”と想像していたらちょっと毒っ気あるコメディだけどそこに友情も描かれていて見事でした。

原作漫画がとにかく面白いので、世にも奇妙な物語ではありませんが、お話は凄くミステリアスですよね。主人公の三春(吉沢亮)も含め、現実世界ではコンビニでバイトをしていた登場人物たちが、ある日突然、非現実世界(ファンタジーの世界)に迷い込んでしまう。現実と非現実がもの凄く隣り合わせというか“もしかしたら、こんなことがあるかもしれない”と思わせてくれるようなバランス感覚がある世界観が僕は好きなんです。お客さんもその絶妙なバランスによって映画の世界に入り込んで頂けるのではないかと思っています。

そう考えるとこの映画には『ハリー・ポッター』的な要素もありますよね。入り口は誰もが知っている世界で登場人物は普通のどこにでもいる男の子とか。非現実世界への入り口は“ここからそっちの世界につながっているの?”と思うくらい意外なところにある。そんな部分も『ブラックナイトパレード』が好きな理由のひとつです。

―― 主演の吉沢亮さんと共演していかがでしたか。

吉沢(亮)くんとは久々の共演でしたが、何度も共演していますし、昔から知っているので安心感というか、心強かったです。カイザーと三春は一緒にコンビニでバイトをしていた時からの仲なので、バディのような関係性でもあるんです。お陰で撮影も楽しかったです。しかも俳優同士は、ずっと笑かし合いなんです。基本的には、まるでひたすらにらめっこしているような現場でした。笑ったら負けるみたいな感じでしたね(笑)。

―― 福田監督はよく笑われているとお聞きしています。

演技が良かったら笑ってくれる感じなんです。監督が楽しんでいる時は僕らも“これでいいんだ”と安心して演じられました。

―― 福田監督の現場の魅了は何ですか。

リハーサルやテストをあまりやらない印象があります、いきなり本番みたいな感じです。何回もリハーサルやテストをして皆で微調整しながら構築していく、作り上げていく感じではありません。各々が持って来た、準備してきたものを出す、いきなり本番という感じで、皆が何をするのかわからないのでライブ感がありました。それに福田監督の現場では、シーンをまるまる通したりもするので緊張感があります。そこは独特かもしれません。

―― それだけ生っぽさというか、役者が作り上げて来たものに敬意を持っていらっしゃるのかもしれません。出来上がった作品をご覧になった感想を教えて下さい。 

吉沢くんは「この作品の世界観を福田監督がどんな風に作り上げるのか、最初は想像がつかなかった」と言っていたんです。僕は今までの福田監督の作品を観て来ていますが、完成したこの作品を観てファンタジーとしての重厚感というか、コメディとして笑えるところももちろんですが、クリスマスが持つちょっとミステリアスな部分もちゃんと描かれていて、入り込んでしまいました。

そして映画としてのドシッとしたものが根底にしっかりあると感じました。同時に、これまでの福田監督作品とは少し色が違う印象も持ちました。もちろん原作漫画から入り切れていない要素もあります。そのぶん、伏線が結構張り巡らされているんです。それらの大事な部分が映画のベースにちゃんと存在していながらしっかりコメディとして成立していて、緩急が絶妙で僕は好きでした。