業界のプロフェッショナルに、様々な視点でエンターテインメント分野の話を語っていただく本企画。日本のゲーム・エンターテインメント黎明期から活躍し現在も最前線で業務に携わる、エンタメ・ストラテジストの内海州史が、ゲーム業界を中心とする、デジタル・エンターテインメント業界の歴史や業界最新トレンドの話を語ります。
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2020年はCOVID-19の影響で多くのイベントが中止となりました。年初にラスベガスで開かれるイベントCES(Consumer Electronics Show)も、2021年はオールデジタルで開催されています。
他の業界同様、エンターテインメント業界にはいろいろなイベント、パーティーが開催されています。映画業界ではカンヌやベネチアの国際映画祭、そして頂点のアカデミー賞など派手な祭典があります。そしてゲーム業界では業界やユーザーを巻き込んだコンファレンスが、”Tokyo Game Show(東京ゲームショー)”をはじめ世界の各地で行われています。業界人の多くが、様々な目的をもって参加しますが、イベントやコンファレンス、それらに何を求め、どのような活動をしているのかをご紹介します。
規模の大きさでいうとアメリカのではLos Angelsで行われる”E3”、欧州ではドイツで行われる”Gamescom”、そして日本では”Tokyo Game Show”があります。中国のマーケットを中心とした上海の”China Joy”、そしてPCオンラインゲームをメインとした韓国の”G Star”も目的によっては行ってみるべきイベントです。知的なエリートの集まりな雰囲気をもつコンファレンスとして、ラスベガスで行われる”DICE”も好きな人は多いでしょう。
しかし、なんといっても、最近ビデオゲーム各社が新サービスや新しいプラットフォームなどの重大発表を行い、最もアクティブに情報交換が行われているのが、サンフランシスコで行われる”Game Developers Meeting (GDC) “です。
プレイステーションが発表される前は、ゲームに特化した世界的なイベントはほとんどなかったようで、CESの一角で情報を提供していたくらいでした。ある意味ゲーム業界はゲームジャンル単独ではなく、おもちゃの業界の一角だったのかもしれません。1990年の後半、E3が始まってから毎年業界の伸びとともに、イベントの規模も大きくなっていきました。私は、最初のE3から参加をしていますが、2000年代はマーケットの勢いを反映し、日本のメーカーが目立ちながら巨大化しており、さらに営業系の活動が主役であり、開発の話をついでで行うような環境でした。
では、”GDC”はどうだったのか。私は、2010年くらいからしっかり参加するようになっていったのですが、”GDC”は新しい情報やこれから起こる未来の話がほかのイベントより集まってくる為、開発者がより多く集まります。ゲーム開発者をメインとしているコンファレンスのため、最新ツールや技術の動向、開発者のノウハウの提供、成功したゲームの苦労話や様々な成果の講座が受けられるのです。
もちろん有料。すべてのアクセスを望むと期間は3〜4日で価格は1万円〜20万円程度と結構な値段がかかります。PS4, XBOXや最近のGoogleのStadiaの発表もGDCで行われました。このような公式プログラム、コンファレンスに人が集まりますが、当然のことながら、それ以外の周辺の場所でも様々な動きが繰り広げられています。
会場には赴きますが、開発者でない私は講義にはあまり興味がないので、もっぱら会場近くのホテルにてビジネスミーティングを行なっていました。ということで後編では、会場以外での活動について書いてみたいと思います。
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内海州史