May 27, 2022 column

『トップガン マーヴェリック』は、やっぱり娯楽作の貫き方がカッコいい

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前作のエッセンスを散りばめた『マーヴェリック』

さて、『マーヴェリック』だ。冒頭から鳥肌ものだ。空母から飛び出す戦闘機F/A-18。荘厳な「トップガン・アンセム」から始まり、ケニー・ロギンズの大ヒット曲「デンジャー・ゾーン」が流れ出す。いきなりスロットル全開のトップスピードだ。そうそう見たかったのはコレなのだ。

早くから続編の製作権を取り、他人には絶対に譲らなかったというクルーズ。観客が見たいものを分かっている。パワフルにノスタルジックな気分に浸らせたのも、つかの間、さらなるマッハの世界に連れ出す。

『トップガン マーヴェリック』は、やっぱり娯楽作の貫き方がカッコいい

時代は変わり、人が乗る戦闘機よりも、無人のドローンが主流。そんな中、軍トップは新型戦闘機の開発をストップさせるが、マーヴェリックは今も我道を行く男。前作では、名乗った際、ケリー・マクギリス演じる教官から「ママに嫌われたの?」と聞かれるが、マーヴェリックは「烙印を押されなかった子牛」という意味で、転じて「群れから離れた男」や「一匹狼」の意味で使われる。

無断で限界突破のテスト飛行を敢行し、軍トップの怒りを買うことになる(そりゃ、そうだ)。しかし、かつての宿敵アイスマン(ヴァル・キルマー)の一言で“トップガン”の訓練教官として赴任。世界の危機を救うミッションに挑む。

『トップガン マーヴェリック』は、やっぱり娯楽作の貫き方がカッコいい

 前作で事故した親友グース(アンソニー・エドワーズ)への思い、アイスマンとの熱い友情、グーズの息子(マイルズ・テラー)との親子に似た愛情と確執、ヒロイン、ペニー・ベンジャミン(ジェニファー・コネリー)とのロマンスもある。

ペニー・ベンジャミンは飛行機乗りのたまり場クラブ「ハード・テック」の女性オーナーで、マーヴェリックとはかつて恋仲だったという設定。『トップガン』では、グースがジェリー・リー・ルイスの名曲「グレート・ボール・オブ・ファイア」を、ピアノを弾きながら歌うシーンが、そのクラブ。グースの妻、キャロル(メグ・ライアン)が「あなたのおふざけはペニー・ベンジャミンから全部聴いているわ」とさりげなく名前だけ出てくる存在だ。芸が細かすぎて、気が付かない人も多いかもしれない。

演じるのは『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(1984)、『フェノミナ』(1985)、『ラビリンス/魔王の迷宮』(1986)など80年代に最も輝いていたジェニファー・コネリー(51歳)だというのもニクい。クルーズとは活動期は重なるが、これが初共演。ある人は「マーヴェリックはオジサンホイホイ」と言っていたが、まさに。世のオジサンが欲しがっているものを痒いところに手が届くくらいふんだんに仕掛けている。

それにしても、驚くべきは今年7月3日に還暦を迎えるクルーズの若さ。ヴァル・キルマー(62歳)は年相応だが、クルーズはしわやシミもほとんどないし、むしろ、筋肉量は前作よりもあるのではないか。前作のエッセンスをふんだんに盛り込みながら、いつものクルーズ映画のようにトコトン本物を追求しているのもさすがだ。