Dec 17, 2019 column

『スター・ウォーズ』シリーズでしか味わえない興奮と落胆

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ジョージ・ルーカスによって生み出された、銀河に平和をもたらす選ばれし者“スカイウォーカー”の系譜は、1977年の『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』から約40年以上を経て、いくつものストーリーが語られてきた。そしていよいよ、最新作『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』によって、ついにスカイウォーカー家の物語は終わりを迎える。
最新作のストーリーは当然トップシークレット。それでも世界中の熱心なファンたちは、予告編などのわずかな手がかりから、ストーリーを推察し、さまざまなサイトで日夜論争が繰り広げられている。
そんな最新作とシリーズの深いストーリー考察はおまかせするとして、このコラムでは最新作の注目ポイントを紹介しつつ、映画史上もっとも愛され、注目される本シリーズの何が人々を一喜一憂させるのか、その正体に迫ってみたい。

最新作で銀河の平和以上に気になるもの

前述したように、シリーズにおけるエピソード9に位置する最新作『スカイウォーカーの夜明け』は、レイを主人公とする続三部作(エピソード7~9)の完結編というだけでなく、旧三部作(エピソード4~6)、さらには新三部作(エピソード1~3)を含んだ、9本に及ぶスカイウォーカー・サーガの完結編になるという。

したがって、前作『最後のジェダイ』(17年)で語られたストーリーの決着はもちろん気になるのだが、もっとも気になるのは、“スカイウォーカー家”という、シリーズの代名詞ともいえる存在の物語に、どうやって幕を下ろすのかということだ。いや、“本当に幕を下ろせるのか”というほうが正しいかもしれない。

ご存知のように、旧三部作では主人公ルーク・スカイウォーカーの成長と、銀河に平和をもたらすまでが描かれ、新三部作では、後にダース・ベイダーとなるルークの父アナキンが、ダークサイドへと落ちていく姿が描かれた。そんなスカイウォーカー親子の新旧三部作に対し、現在進行中の続三部作の主人公はレイである。ここまで、レイがとんでもないフォースの持ち主であることは語られているが、レイ自身がスカイウォーカーの血筋だとは語られていない。それどころか、前作でのカイロ・レンとの会話において、レイの両親は名もない人物で、レイの故郷ジャクーの墓に眠っているという衝撃の過去が語られている。

そんな過去が語られてもなお気になるのは、このスカイウォーカー物語の集大成において、主人公がスカイウォーカーの血筋ではないということが本当にあり得るのか、ということだ。もしあり得るのなら、レイという存在は何を意味しているのか。それともやはりレイが血筋のカギを握っているのか。この点にどんな決着が待っているのかに注目したい。

そのほかにも、レイとカイロ・レンの関係、フィンやポー・ダメロンをはじめとしたキャラクターたちの行く末、パルパティーン皇帝の登場、そして急逝したキャリー・フィッシャー演じるレイアをどう扱うのかなど、決着をつけるべき要素は盛りだくさん。

『フォースの覚醒』(15年)以来の監督復帰となったJ.J.エイブラムスは、どんな幕引きを用意するのか。その手腕に大いに期待したい。