国際長編映画賞 International Feature Film winner
『関心領域』
アウシュビッツ収容所の隣で幸せに暮らす一家を描く
2023年12月15日 米国初公開 全世界興行収入:16,028,097ドル (2024年3月10日時点)
アウシュビッツ収容所の隣で、ナチス幹部である収容所の所長一家が幸せに暮らす様子を描く。残虐描写は描かない一方、弊の向こうから銃声や叫び声が聞こえるという、異色の演出が高評価を獲得、カンヌ国際映画祭では『落下の解剖学』と最高賞パルム・ドールを競い、グランプリを獲得した。
第96回アカデミー賞では作品賞のほか、監督賞、国際長編映画賞、脚色賞、音響賞の5部門にノミネート。日本代表であった『PERFECT DAYS』を制して国際長編映画賞を受賞したほか、音響賞も獲得、2部門受賞を果たした。監督を務めたのは、ジャミロクワイ「Virtual Insanity」などのMVを手掛け、本作が『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』以来約10年ぶりの長編映画となった、鬼才ジョナサン・グレイザー。
ジョナサン・グレイザーは「製作チームの皆さんに感謝します。我々はこの映画で過去ではなく、現在起きている衝突を反映し、今について伝えるものにすると決めていました。過去に何をしたのかということではなく、むしろ今何が起きているのかということ。私たちの映画は、非人道的な行動が最悪の事態に至ることを示しています。イスラエルであれ、ガザであれ、今も非人道的な行いでたくさんの犠牲者が生まれています。私たちはこれにどう抵抗すれば良いのでしょうか。」とスピーチした。
あらすじ
空は青く、誰もが笑顔で、子供たちの楽しげな声が聴こえてくる。そして、窓から見える壁の向こうでは大きな建物から黒い煙があがる。1945年、アウシュビッツ収容所の所長ルドルフ・ヘスとその妻ヘドウィグら家族は、収容所の隣で幸せに暮らしていた。スクリーンに映し出されるのは、どこにでもある穏やかな日常。しかし、壁ひとつ隔てたアウシュビッツ収容所の存在が、音、建物からあがる煙、家族の交わす何気ない会話や視線、そして気配から着実に伝わってくる。壁を隔てたふたつの世界にどんな違いがあるのか。
『関心領域』おすすめ記事
Column / 第44回:『PERFECT DAYS』の全世界興行スマッシュヒットとアカデミー賞キャンペーン
2023年5月24日 日本公開
監督・脚本:ジョナサン・グレイザー/出演:クリスティアン・フリーデル、ザンドラ・ヒュラー/配給:ハピネットファントム・スタジオ © Two Wolves Films Limited, Extreme Emotions BIS Limited, Soft Money LLC and Channel Four Television Corporation 2023. All Rights Reserved.
公式サイト happinet-phantom.com/thezoneofinterest