Nov 08, 2017 column

映画館でその凄さを体感して欲しい! 11月公開の海外アニメ作品『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』と『ゴッホ ~最期の手紙~』

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ストップモーション、絵画のアニメーション化、これらもアニメーションの1つでしかなく、アニメの手法は他にもいくらもある。こういった作品の面白さは「これが動くなんて!」というアニメーションの感動のもっとも原初の部分そのもの。幼児期に誰もが一度は空想する、「目の前のぬいぐるみが動いたら?」「自分の書いた絵が動かないかな?」。そういったことを実現してくれる。

そして、その独特な素材ならではの暖かみや冷たさといった温度もが伝わってくる。これらの手法によって生み出される作品は、その映像そのものに他にはない独自の熱があり、観客の心と記憶に大きな印象を残してくれる。 僕は小学生の時に劇場で、サンリオ製作による長編人形アニメ映画『くるみ割り人形』(79年)を見た。日本を代表する人形アニメーション作家の真賀里文子さんによる人形たちの動きはなんとも楽しかった。40年近く経ったがいまだに憶えている。中学生の時にはアニメージュの記事で知った旧ソ連のアニメーション作家ユーリ・ノルシュテインの作品を見た。主に切り絵を使ったノルシュテインの映像はそれまで見たこともなかったもので、とてつもない衝撃だった。それらの驚きも感動も全てがいまだに僕の中にある。

ここまでに挙げた作品以外にも、12月にはフィンランドで制作されたパペット(人形)アニメーション映画『ムーミン谷とウィンターワンダーランド』が公開される。様々な素材が使われた人形たちが動く様は、予告編を見ただけでも楽しみだ。また、年が明けての2月には今年のアカデミー賞長編アニメーション部門にノミネートをされたストップモーションアニメ『ぼくの名前はズッキーニ』も公開される。この作品も日本公開がどうなるのかわからなかった作品であるので、なんともうれしい限り。

ストップモーションも絵画アニメも、かつては特撮映画やテレビCMなどであたりまえのように目にすることが出来た。しかし時代が変わり、こういった手法を用いた作品になかなか接する機会が減ってしまった。しかも海外長編作品は公開も減っている。

その中でこれらの作品が見られる機会は貴重だ。こういった作品をスクリーンで見ること。そのことが生み出す感動は、あなたの中に言葉に出来ない“大きな何か”を残すことになるだろう。

文 / 岡野勇(オタク放送作家)