紳士的なクマから血生臭い白石和彌監督作、娼夫役――2018年はさらなる大躍進の年に
そんな松坂にとって2018年はさらなる飛躍の年になるのは間違いない。『不能犯』より少し前から公開中の、クマのパディントンの日本語吹替を担当している『パディントン2』。紳士的なクマの声は彼のイメージにピッタリで、前作でもモフモフの愛されキャラをキュートに演じていた。続編では斎藤工が声を担当するフェニックス・ブキャナンとの対決シーンがあるそうだが、どんな演技バトルが繰り広げられるのか楽しみだ。
続いて『パディントン2』の真逆をいく、血生臭くてハードボイルドな『孤狼の血』の公開も5月12日に控えている。今作では、暴力団対策法成立直前の昭和の広島を舞台に、役所広司演じるやくざとの癒着が噂される刑事・大上の部下である新人巡査・日岡役を演じている松坂。破天荒な捜査方法の大上に振り回され、暴力団同士の抗争に巻き込まれていく日岡を、実録ものの作品を得意とする白石和彌監督のもとで魅力的に演じているに違いない。
最後に、彼にとって最も大きなチャレンジになったであろう作品は、映画版『娼年』(4月6日公開)ではないだろうか。石田衣良原作、三浦大輔演出の2016年の舞台「娼年」でも主演として娼夫の青年・領を演じており、かなりきわどいシーンへの挑戦が話題となった(観劇者が松坂の腰を心配してしまうほどに…笑)。舞台と同じ三浦大輔がメガホンをとった映画版でも、おそらくハードなシーンを体当たりで演じていると思うが、どれだけ攻めた芝居をしていたとしても、彼ならきっと美しい映画として成立させてしまうことだろう。
昨年に筆者がインタビューした際に「演じている姿が自分で想像できる範疇だと甘えが出てしまうから、3年ほど前から自分に対して高いハードルを課すようにしたいと思うようになった」と語っていた松坂。今年30代に突入する彼は、もっと高いハードルを悠々と超え、我々が想像もしていなかった新しい魅力をみせ続けてくれるだろう。どんな作品選びをしていくのか、今後の彼の出演作と活躍に、大いに期待したい。
文/奥村百恵
『不能犯』
2018年2月1日(木)公開
配給:ショウゲート
©宮月新・神崎裕也/集英社 2018「不能犯」製作委員会
『ゆとりですがなにか 純米吟醸純情編』
ブルーレイ:6800円(税抜) DVD:5800円(税抜)
発売中
発売元・販売元:バップ
©NTV
『キセキ ーあの日のソビトー』
通常版 ブルーレイ:4800円(税抜) DVD:3900円(税抜)
豪華版 ブルーレイ:6800円(税抜) DVD:5800円(税抜)
発売中
発売元:ハピネット/ハイスピードボーイズ 販売元:ハピネット
©2017「キセキ ーあの日のソビトー」製作委員
『ユリゴコロ』
2017年公開
配給:東映、日活
©沼田まほかる/双葉社 ©2017「ユリゴコロ」製作委員会
『彼女がその名を知らない鳥たち』
2017年公開
配給:クロックワークス
※R15+
©2017映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会
『孤狼の血』
2018年5月12日(土)公開
配給:東映
※R15+
©2018「孤狼の血」製作委員会
『娼年』
2018年4月6日(金)公開
配給:ファントム・フィルム
※R18+
©石田衣良/集英社 2017映画『娼年』製作委員会